代表ウィークを終えて、J1リーグが再開する。川崎フロンターレは大分トリニータを迎えるが、多くの代表選手を送り込んだチームは、その刺激を加えてさらにパワーアップする。名古屋グランパスとの連戦も決まり、鬼木達監督の意気も上がる。

上写真=川崎フロンターレは6勝1分けと無敗だが、鬼木達監督は勝利を求める(写真◎J.LEAGUE)

「碧だったらやるだろうな、と」

 AFCチャンピオンズリーグの日程変更に伴い、J1リーグのスケジュールも再調整された。ファン・サポーターにとって、そしてJリーグファン、サッカーファンにとって興味深いのが、川崎フロンターレと名古屋グランパスが連続して対戦することになった奇遇だ。

 4月29日に豊田スタジアムで、5月4日に等々力陸上競技場で。ゴールデンウィークのゴールデンカードだ。

 川崎Fの鬼木達監督は「まだそこまでにはたくさんの試合があって、一戦必勝で戦うことは間違いありません」と前置きしながら、こう続けるのだ。

「自分たちというより、名古屋が首位だと思っています。これからどういう展開になるか分かりませんが、大事な2戦になることは間違いないと思います」

 名古屋は6連勝で勝ち点18の2位。川崎Fは1試合、消化が多く、6勝1分けの勝ち点19で首位。ただ、ヴィッセル神戸戦に引き分けて失った「勝ち点2」の分だけ、名古屋が優位だという見立てなのだ。

 そこに、鬼木監督ならではの静かな意地が垣間見える。最後に頂点に立つことがリーグ戦の目的だが、すべての試合に勝つことでそれを実現させたい指揮官の情熱を刺激するには十分のようだ。

「そこまでにしっかりいい戦いをしなければ盛り上がらないですからね。その意味でも自分たちらしいプレーをしたいと思います」

 改めて、自分たちのチームに目を向ける。

 川崎Fでは日本代表で山根視来、脇坂泰斗、U-24日本代表でも田中碧、三笘薫、旗手怜央がプレーして、帰ってきた。その間、残った選手たちの底上げも図られた上で、再び融合していく。中でも、U-24アルゼンチン代表との親善試合2戦目で見せた田中のプレーは圧巻だった。鬼木監督はどう見ていただろう。

「緊張もあったし期待もあった中で、期待に応えたのではないかと思います。特に自分たちのチームでやっていることを出せたことと、リーダーというかそういう思いでプレーしたのではないでしょうか。チームでも声を出して人を動かしなさいということを言っている中で、今回のボランチというポジションでしっかり舵取りしていたと思います。そこはすごく頼もしく思いましたし、碧だったらやるだろうな、という範囲のところで見ていました。しっかり戦った印象ですね」

 チームの大黒柱となるあのすさまじいパフォーマンスも、鬼木監督にかかれば「当たり前」だったということだ。

「多少、疲れている表情はありましたけど、充実感というか、そういうものを感じられましたし、刺激になったのかなと。碧だけではなく、U-24代表とフル代表に行った選手たちを見るとみんなそう感じさせてくれました」

 最強の陣容とスタイルを誇るクラブに、さらに新しい刺激が加わってJ1の再開を迎える。まさに鬼に金棒。