名古屋グランパスが開幕4連勝だ。開幕戦が2-1、残りが1-0とシビアな戦いを勝ちきっているのはさすがだ。吉田豊は4試合フル出場と今季も好調。負けないチームを引っ張るが、スキを見せない戦いの根源は「ごちゃまぜ」だという。

上写真=吉田豊は4試合連続フル出場。相変わらずのタフネスぶりで貢献している(写真◎Getty Images)

「わざと前に行かないという場面も」

 大いなる自信と、過信に至らないための戒め。その両方が吉田豊の言葉から伝わってくる。

「やられる気はしない、というか、やられちゃダメですね。ちょっとのスキも見せないことはできていると思います」

 アビスパ福岡との開幕戦で2-1の勝利を収めると、続く北海道コンサドーレ札幌、柏レイソル、ヴィッセル神戸との対戦はすべて1-0で切り抜けた。堅守を誇る名古屋グランパスらしい戦いぶりで、勝ち点を積み重ねている。

 小さなほころびすら自分たちに許さない徹底された自己管理の賜物と言えそうだが、その基盤にあるものを吉田は口にする。

「(ピッチにいる)11人、(ベンチ入り含めた)18人みんなが犠牲心を持って走って戦う姿勢が毎試合出ているので、攻守に渡って結果に表れていると思います。そこが一番重要で、評価すべき点です」

 1点差のゲームを4試合続けてものにするのは「犠牲心」だと見定めているからこそ、寸分のスキも与えることはない。

 そんな引き締まった戦いは「堅守」と表現されるように硬質なイメージがあるが、吉田としてはむしろその逆の要素を感じるという。

「(交代選手が多いことは)やりにくさは感じていませんね。今年に入って名古屋で練習したりキャンプでやっていく中でも、みんなでごちゃまぜでトレーニングしているんです。メンバーを固定するということがなくて。チーム全員でベースとなるものをつくって、相手に合わせてサッカーすることを全員でやっているので、最初から出る選手も途中からの選手も関係なく、それぞれの長所を引き出すことをしながら、やりにくさとか迷いはないんです」

 一人ひとりがタイトに結びつきながらも、その接点は「ごちゃまぜ」という表現にもうかがえるように流動的で数が多い。硬いだけではなく柔らかいところが、いまの名古屋の強みだろう。

 とはいえ、ここからは得点力も増やしたい。サイドバックとしての役割について「オーバーラップの回数を増やして前の選手を助けてあげて、厚みある攻撃することによって得点チャンスが増える」という好循環をイメージしている。でも、あえて攻め上がるのをやめることもある。

「前の選手(サイドハーフ)によってちょっと変わるんですけど、2対1の状態をつくってあげて、ボール保持者に選択肢を持てるようにサポートにどんどん行こうと思っています。ただ、相馬(勇紀)は僕が上がることで迷っちゃうときがあるみたいで、逆に1対1でガンガン仕掛けさせてあげようと最近は話をしています。だから、わざと前に行かないという場面もつくっています」

 試合の状況やパートナーになる選手の特徴によって微調整を施す。守備だけではなく、攻撃への視界もとてもクリアだ。