開幕から3連敗と苦しむチームを救ったのは、3年ぶりに湘南ベルマーレに復帰した高橋諒。13日のベガルタ仙台戦では1得点2アシストと大暴れ。前節までは開幕戦のミスを引きずり調子を崩していたが、この日は悩みも吹っ切れて、のびのびとプレーし、勝利に貢献した。

上写真=仙台戦で勝利に貢献した高橋諒(写真◎J.LEAGUE)

■2021年3月13日 明治安田生命J1リーグ第4節(@レモンS/観衆3,642人)
湘南 3-1 仙台
得点:(湘)高橋諒、名古新太郎、町野修斗
   (仙)松下佳貴

揺るがなかった指揮官の信頼

 責任感の強い高橋諒は、一つの失敗が頭からずっと離れなかった。開幕カードのサガン鳥栖戦。0-0で迎えた80分だった。ペナルティーエリア内で痛恨のファウルを犯し、相手にPKを献上してしまった。結果的にそれが決勝点となり、チームは敗戦。続く柏レイソルでは失点に絡んでしまう。開幕戦のPKが頭によぎり、ボールホルダーへの寄せが甘くなったのだ。

 まさに悪循環。そして、3節の鹿島アントラーズ戦では、ついに先発メンバーからも外されてしまう。ただ、試合前に浮嶋敏監督に呼ばれて、話をしたという。

「柏戦で相手に寄せきれずに失点した場面について、『あの気持ちは分かるよ』と言われました。ビンさん(浮嶋監督)も同じサイドの選手だったこともあり、その言葉を聞いて、すごく気持ちが楽になりました。一つの失点くらいで考えすぎるのはいけないなって。でも、次に試合に出るときは、あの借りを返してやろうと思っていました」

 指揮官の信頼は揺らいでいなかった。4節の仙台戦ではスターティングメンバーに戻ると、期待に応えるように左サイドでアップダウンを繰り返し、攻守両面で奮闘。2分に豪快な左足シュートで先制ゴールをマークし、54分には鋭いクロスで名古のゴールをアシスト。さらに62分にもCKから町野修斗の3点目までお膳立てした。申し分のない働きである。高橋を信じてピッチに送り出した浮嶋監督は、満足そうな笑みを浮かべていた。

「開幕戦のPK、レイソル戦の失点でプレーが消極的になっていましたが、きょうはそれをはね返すような働きでした。アグレッシブな姿勢を見せてくれ、それがゴール、アシストにつながったと思います」

 覚悟を決めて、3年ぶりに湘南に戻ってきた。松本山雅での2シーズンは無駄に過したわけではない。試合経験を積んで、大きく成長したという自負がある。

「ここからパフォーマンスをさらに上げていきたい。まだまだ自分のプレーに満足していないです。チームの目標であるJ1残留を成し遂げたい」

 頼もしい男が帰ってきた。本領発揮はここからだ。

取材◎杉園昌之