横浜F・マリノスにようやく初勝利が訪れたのは第3節のアビスパ福岡戦のこと。3-1の勝利を決定づけるロスタイムの3点目をアシストしたのが水沼宏太だ。自慢の鋭いクロスが輝いたが、さらなる攻撃改善に意識を向けている。

上写真=水沼宏太は福岡戦で67分に登場し、鮮やかなクロスで今季初アシストを記録(写真◎J.LEAGUE)

「自分ならこうできるというイメージが」

 川崎フロンターレに0-2、サンフレッチェ広島に3-3、そしてようやくアビスパ福岡に3-1。横浜F・マリノスに「初日」が出たのがJ1第3節のことだった。その福岡戦では90分に前田大然が勝利を決定づける3点目を鮮やかなダイビングヘッドで決めたのだが、ニアに突っ込んだところに惚れ惚れするような高速ピンポイントクロスを送ったのが、水沼宏太だ。

 今季は3試合すべてに出場しているものの、いずれもピッチに入るのは試合の途中から。「スタメンで出ることができていないのは信頼を勝ち取れていないと思いますし、チームにとって自分の力が及んでいないのかもしれない」と見つめるが、「出たらやれる自信はあります」と虎視眈々である。

 攻撃への湧き出るイメージが止まらないようだ。

「攻撃がうまくいっていない場面が試合でたくさんある中で、自分ならこうできるというイメージがものすごく出てきているんです。プレー時間が増えたらいいなと思いますけど、僕自身も去年から少ない時間かもしれないけど結果を残そうとしてきて、そこはもっともっとやりたいし、去年以上のアシストやゴールを残さないといけないという気持ちはあります」

 出たら結果を残す。ピッチに立つ時間が長くても短くても、最初からでも途中からでも、やることは変わらない。「出られていない焦りはあまりないけど、早くもうちょっと出たい気持ちはありますけどね」とちょっぴり本音をのぞかせつつも。

 3試合を終えて1勝1分け1敗と五分の星。ここから高めていかなければならない。

「考えすぎてプレーしているのが一番良くないと思います。このチームは前へのダイナミックさと思い切りの良さがいいところ。でも、それが少なくなってきているのは自分たちにとってはマイナスなことです。もっとシンプルにゴールに迫るやり方を、ピッチの上で自分たちで考えてやれるところはありますから」

 結果に結びつかないと迷いが生じるが、それを断ち切るために必要なのは「考えすぎないこと」であるという事実が、水沼には見えている。例えば、自らが送り込んだ福岡戦のあのクロスのように。

「アビスパ戦の最後はシンプルだけどクロスから点は入るわけですし、いろいろな攻撃の形を見つけだしていくことはこのチームならもっとできるんです。自分が試合に出たときにはバリエーションを試しながら、相手の脅威になるプレーをしていきたい」

 相手を怖がらせるクロスが健在だと改めて知らしめた福岡の夜。次は、浦和レッズが相手だ。