浦和レッズに2022年の加入が内定している流通経済大の宮本優太は各地域の選抜チームで戦うデンソーカップで関東選抜Aの主将として優勝に貢献。内定にあぐらをかくことはない。レッズの練習でも刺激を受け、成長するばかりだ。

上写真=デンソーカップでも印象的なプレーを披露。宮本優太に注目だ!(写真提供◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子)

敦樹くんのようになっていきたい

 今春、浦和レッズの練習場で新加入選手たちが必死にポジション争うなかに流通経済大の宮本優太の顔もあった。今季加入した大卒ルーキーの大久保智明(中央大出身)、伊藤敦樹(流通経済大出身)に交じり、物怖じせずに堂々とプレーしていた。これから最終学年を迎える大学3年生には、とても見えない。プレシーズンに行なわれたJ2の相模原SCとの練習試合では右サイドバックに入り、アップダウンを繰り返して、攻守両面で安定した働きぶりを披露。プロと遜色ないと言っても過言ではない。試合の合間、練習の途中でも周囲とコミュニケーションを取り、少しでも吸収しようとする姿勢も垣間見えた。

「ベテランの人たちが本当によくしてくれました。すごくやりやすかったです。勉強になることばかりでした。練習中から経験のある阿部(勇樹)さん、槙野(智章)さんが積極的に声を出している姿を見て、刺激を受けました。僕もチームに戻ってからは意識して、声を出すようにしています」

 2月末で浦和の練習を切り上げると、3月からはデンソーカップに出場するため関東選抜Aに合流。チームでは主将としてリーダーシップを発揮し、大会では格の違いを見せた。

「レッズの内定選手としての自覚はある。相手に何もやらせないくらいの気持ちでプレーしました。対人の部分では負けられない」

 自信を持つ1対1の強さは目を見張るばかり。攻撃面でもタイミング良く縦パスを通すなど、効果的なビルドアップで貢献。浦和のリカルド・ロドリゲス監督から意識付けられたことが、大学サッカーでも生きている。

「ゲームの運び方は、レッズでしつこいくらいに言われました。サイドバックから攻撃をつくっていくことは意識しています」

 浦和と大学では求められる仕事が異なることも理解している。それでも、勝利から逆算して働くことに変わりはない。ゲームの流れを読んでプレーするのはお手の物。流通経済大柏高時代を含め、大学でもボランチでプレーする期間が長かった。昨季は選抜でボランチを任されていたものの、チームでは右サイドバック。二足のわらじを履き、確実にレベルアップしてきた。1学年上の先輩で今季から浦和に加入した伊藤がいいお手本になっている。大学でサイドバック、ボランチ、センターバックをこなして成長し、プロ1年目から開幕スタメンを勝ち取ったのだ。その姿を目の当たりにした宮本は否が応でも意識する。

「(伊藤)敦樹くんは多くのポジションを経験し、身につけたものがあると思います。僕も与えられたそれぞれの役割をしっかり果たしてチームの勝利に貢献したい。それが評価にもつながる。敦樹くんのようになっていきたい」

 昨季はチョウ・キジェコーチ(現京都サンガ監督)からシーズンを通して熱血指導を受け、多くのことを吸収した。1年生のときからずっと見守っていた流経大の中野雄二監督は、その成長ぶりに目を細める。

「もともと運動量は豊富でしたが、学年を重ねごとにその持ち味をより生かせるようになってきました。スタミナを有効に使えていますね」

 いまや大学サッカー界では、指折りのサイドバック。昨今の大卒ルーキーたちの活躍を見れば、レベルは言わずもがな。今年2月には浦和の特別指定選手になり、Jリーグにも出場可能。大学に籍を置いているが、プロの舞台でデビューする日もそう遠くないかもしれない。

取材・文◎杉園昌之 写真提供◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子