徳島ヴォルティスはJ1第3節で川崎フロンターレと対戦し、0-2で敗れた。放ったシュートは後半の2本のみ。中盤でチームのハンドリングを担った藤田譲瑠チマが、厳しくも貴重なレッスンとなった一戦を振り返る。

上写真=持ち味を出せなかったと話した藤田譲瑠チマ(写真◎小山真司)

■2021年3月10日 明治安田生命J1リーグ第3節(@等々力陸/観衆4,,853人)
川崎F 2-0 徳島
得点:(川)レアンドロ・ダミアン2

寄せる前に違う所にボールが…気持ち悪かった

 川崎Fと対戦した徳島は、自分たちが想定したやるべきことを、どれだけ遂行できただろうか。最終ラインに下がって度々ピックアップを試みた藤田は、J1王者との対戦直後に、率直に思いを語った。

「前半の初めの方は正直、相手の名前にビビッてしまって、自分たちのサッカーをする以前に、距離感が悪かったし、すべてに対して受け身になってしまった。それが流れが悪くなった原因だと思います」

 J歴代最強とも称されるチームを前にして、自分たちの持ち味を出す以前に委縮してしまったという。前半に記録したシュートはゼロ本。ビルドアップがままならず、チームは『作り』の過程で何度もボールを奪われては守備に奔走することになった。

 ハーフタイムに「みんなで話し合って、『あと45分しかないから悔いのないようにやろう』と。スタッフや憲くん(岩尾)から積極的に仕掛けていこうという話もあって、気持ちを入れ替えて後半入ることができた」。その結果、攻撃時の距離感は幾分改善し、パスもつながり始めた。徳島の時間も増え、チームとしてシュートを2本を記録した。とはいえ、それらすべては前半との比較において良化したにすぎない。試合を通じて徳島の持ち味を出せたかと言えば、答えはノーだろう。

「自分たちもボールを持ちたいチームではあるんですが、その点で見たら川崎の方が距離感がよく、パススピードもテンポも早かった。守備をしているときの感覚は、自分が寄せる前に違う所にボールがある感じで、すごい気持ちが悪かったし、やりにくかった。自分たちもそういったところを真似ることができれば、今後は効率のいい攻撃ができて、点も取れるようになると思います」

 力の差を見せつけられた敗戦はしかし、多くの学びを得る場にもなった。Jの頂点との差は確かにある。ただ、進む道の先にあるのも確かだろう。藤田もそう感じるからこそ「真似できれば」との言葉が口をついたに違いない。

「個人の課題としては、前半も何本か簡単なミスでカウンターを招いてしまったシーンがあったし、後半も判断が遅くて取られてしまったシーンがありました。攻撃ではもう少しボールをもらう前に予測や周りを見れれば、自分のところからテンポをどんどん出せて攻撃にリズムを出せると思う。そういうところをもっと出さないといけない」

 次に徳島がリーグ戦で川崎Fと対戦するのは、9月18日(29節)。約半年後だ。それまでにチームは何を積み上げ、藤田はどう変わるのか。注目される。