宮原和也が、帰ってきた。今季初先発にして初のフル出場。J1第3節の柏レイソル戦で一歩も引かずに1-0の勝利の一員になった。昨季は出番を失い、代わって台頭した成瀬竣平と今季はポジションを争う。その切磋琢磨をチームの力に変えるつもりだ。

上写真=仲間と勝利を喜びあう幸せをかみ締める。宮原和也は3試合すべてに出場して、3連勝に力を発揮している(写真◎J.LEAGUE)

「試合をこなすことでまだまだ上がっていく」

 2020年の出場はたったの5試合、164分だった。先発は2試合、フル出場は1試合。その前年までは魅惑のサイドアタックを担うレギュラーサイドバックだった宮原和也は、20年には負傷の影響でリハビリスタートとなり、7月には新型コロナウイルスの陽性判定が出て戦列を離れた。

 だから、今年への思いは自然と強くなる。不在の間に成瀬竣平が台頭してきた。ポジション争いは激しい。

「いまはすごくチーム内で競争があると思いますし、その中でこうやって試合に勝てています。試合に勝つことが一番大事ですし、試合で個人が成長していける部分は攻守ともまだまだあるので、試合で成長していければいいと思っています」

 開幕戦から3試合連続で出場していて、最初の2試合は途中から、そして3月10日のJ1第3節柏レイソル戦ではフル出場を果たした。昨年9月30日のヴィッセル神戸戦以来だ。しかも、1-0の勝利。充実感が漂う。

「去年は試合に絡めていなくて、今年はいい準備をして臨めていると思いますし、1-0という結果が出たのはすごくうれしいですね」

 昨年の5試合の出場のうち、実は勝ったのは1試合だけ。第24節のベガルタ仙台戦だったが、出場したのは89分からだった。もちろん試合を締めるのも、チームの一員としての大事な役割ではある。だが、フル出場して勝利を収めた試合となると、19年11月9日の神戸戦が最後で、実に1年4カ月ぶり。ようやく勝利の感触を味わうことができた。

「グラウンドの状態があまり良くないことは分かっていたので、フィジカルの試合になるのは分かっていました。その準備はしていましたし、その上で1-0で勝てたのは大きいですね」

 両チームともリスクを減らして早めにボールを離す戦いになったので、ルーズボールが増えた。フィジカルコンタクトがその分、増えていった。でも、負けなかった。

「メンタル的にもフィジカル的にもいい準備ができています。試合をこなすことでまだまだ上がっていくのは分かっているので、ここから上げていきたいですね」

 宮原といえばやはり、センスあふれる攻撃参加が魅力。試合勘が戻ってくれば、一昨年までのようにワクワクするアタックが見られるはずだ。

「いまは前線にいい選手がたくさんいるので、動き出したらいいタイミングで出してくれるし、いいサポートもしてくれているのでやりやすいですね。もっと得点やアシストに絡んでいくことはできると思うので、狙っていきたいです。もちろん状況に応じてリスクマネジメントをしながらですけれど、いいタイミングで上がっていければいいと思っています」

 開幕戦と第2節は成瀬が先発で、宮原が後半に代わって入った。第3節は宮原がフル出場した。お互いに自慢の攻撃力をぶつけ合うライバル物語は、2021年の名古屋を熱くさせてくれそうだ。