上写真=軽快に、かつ重厚に。大久保嘉人はゴール前での迫力をさらに増している(写真提供◎セレッソ大阪)
「本当にみんなが頑張ってくれている」
「前のことは忘れてますよ」
絶好調の大久保嘉人にとって、開幕から3試合連続で計4ゴールという結果はもう忘却の彼方だ。
「3試合はもう終わったことなので忘れて、1試合1試合にかける思いでいまやっています」
古巣のセレッソ大阪に戻ってきて、すべてを出し切る覚悟でピッチに立っている。
「ゴール前での集中力というか、以前に点を取っていたときのような、ボールが来たときのワクワク感を思い出してきたんです。その感覚を取り戻してきた感じですね」
川崎フロンターレ時代の2013年から3年連続で得点王に輝いている。あの圧巻のゴールショーの感触が甦ってくる。
「シュート技術や基本技術は50歳になろうが60歳になろうが衰えることはないと思いますし、ボールが来たときにどうリラックスして余裕を持って打てるかというところだけなので、セレッソに来てかなりワクワク感が増えたのはすごく感じますね」
そんなワクワク感を倍増させるのは、仲間への思いだ。今季2試合目となった第11節の川崎フロンターレ戦のあとには「ボールが集まるのが大きい」「ディフェンダーとの駆け引きだけで済んでいる」と話していて、ゴール前に集中させてくれているチームメートへの感謝を口にしていた。
「自分から何かを言うことがないぐらい、みんなうまいですからね。本当にみんなが頑張ってくれているので、どうにかしてでも最後に決めてやろうという気持ちを常に忘れず持ちながらプレーしています」
技術は衰えず、ワクワクの気力は充満していて、ゴール前にボールを運んでくれる仲間がいる。ゴールの条件は揃っている。あとは、開幕戦以来の勝利がほしい。
「逆転負けはしていますし、レヴィー(クルピ監督)のやるサッカーにはまだまだ完璧ではないですけど、3試合しかやっていない中で体現できていることはプラスにとらえられています。まだまだ試合は多いからこそ、この先にどれだけ進化できるのだろうという思いがあります。負けているけど雰囲気はいいし、みんな前向きにやっていますね」
だから、自分の活躍を忘れて前を向くように、2試合連続で逆転負けを喫したことも忘れて、また真っ白な気持ちで次の1試合に向かえばいいのかもしれない。