3月10日のJ1第3節で、ネルシーニョ対マッシモ・フィッカデンティという策士対決が実現する。ともに前節で采配の妙を披露して勝利に導いた。フィッカデンティ監督率いる名古屋グランパスは3連勝をかけて敵地に乗り込む。

上写真=昨季の柏での試合は1-0で勝利。フィッカデンティ監督は今回ももちろん勝って、開幕3連勝を狙う(写真◎J.LEAGUE)

「柏との試合は毎回苦しいものになることは分かっています」

 開幕2連勝は2018年以来だ。このときはもう一つ勝って、3連勝まで伸ばしている。同じことを、マッシモ・フィッカデンティ監督は3月10日の柏レイソル戦で狙っている。

「2連勝して3試合目に臨みますが、ここまでやってみて、ある程度は去年のベースの下に戦えています。走るサッカーを求めても、どの時間までなら走りきれる、という逆算ができています」

 これが継続の強みだろう。逆算ではじき出した基準を軸にゲームをデザインできるから、例えば第2節の北海道コンサドーレ札幌戦でそのポイントを下回っていると見るや、54分という早い時間帯に一気に3人を代える采配で、流れを引き寄せることができた。

「次の試合に向けて選択肢をチームとして持てるかどうか、勝つ確率を上げるそんなとらえ方について、選手は私と同じようにできています。それは私がグランパスに来てから強く言い続けてきたことでもあって、代えられた選手もチームが一つの方向性に向かうためだということを分かっています。代わって出た選手はベンチに下がった選手の分もプレーできなければ何のための交代かということになってしまいますから、その部分の責任感も含めて、選手たちはしっかりやってくれています」

 監督の采配と選手の意識がシンクロしている実感を、力強く表現する。

「プランの中でもより有利な方向に向かうためにチームとして準備していますが、予期せぬことがいくつでも起きるのが試合です。1分、2分と交代のタイミングが遅れただけで試合を引き戻せないこともある。逆に間違わずに勝ちにつながることもあります。選手も柔軟性を持って受け入れているのはいいことだと思います」

 柏とは昨季、それぞれがアウェーで1-0の勝利を収めている。その前の対戦は2018年で、こちらも名古屋がホームで2-3、アウェーで1-0と1点差ゲームだ。

「ほかのチームについては外から見ても分かりませんから、柏はいまのところはそこまでいいように見えませんが、試合の中でそういうパフォーマンスに終わっただけで本当はコンディションはすごくいいかもしれません。警戒していきたいと思います」

 つまりは、相手に惑わされないということだが、直近の4試合を見ても分かるように、シビアな展開になりそうだ。

「柏との試合は毎回苦しいものになることは分かっています。まずは集中して選手に伝えて、次の試合に向かわせるのが私の仕事だと思っています」

 柏は開幕戦ではセレッソ大阪に完封負けを喫したものの、続く湘南ベルマーレ戦ではネルシーニョ監督が交代策で中盤を整理したことで流れを変えて、今季初勝利を引き寄せた。采配ずばり、だった。

「実際、我々との試合のときにどうぶつけてくるかは分かりませんし、直前で変えることもできるでしょう。いまのところ見えている可能性はいくつか試しているな、という印象ですが、どのパターンで来ても対応することはチーム全体として統一してやっていきますし、すでに整理しました。あとはフタを開けてみて判断するだけです。準備はできています」

 フィッカデンティvsネルシーニョ。監督同士の仕掛け合いも大注目ポイントだ。