上写真=神戸戦に向けて調整する中村帆高。練習後にオンライン取材に応じた(写真提供◎FC東京)
自分たちサイドの選手がやらなければ
昨季、FC東京ではサイドバックによるアシストがほとんどなかった。1アシストを記録した室屋成が移籍して以降は、サイドバックによる効果的なサイド攻撃も減少。長谷川健太監督もキャンプ中からその点を指摘し、サイドバックの選手たちは意識的にトレーニングを重ねてきた。
中村帆高もその一人だ。セレッソ大阪戦では、サイド攻撃の担い手となるという強い意識が垣間見えた。早いタイミングでのクロスやカットインからシュートを放っている。明らかに攻めのバリエーションが増えた。その変化については本人も認めるところだ。
「去年、サイドからのクロスによるゴールは、室屋(成)さんの1点しかなくて、自分もそうですし、(中村)拓海だったり、(小川)諒也さんだったり、結果が出せていないという思いは、強くあります。実際に結果を数字で見ると、自分たちサイドの選手が、改めてやらなければいけないなと思います」
特に後半はチームが前向きのプレーを増やし、リズムをつかんだこともあって、中村帆の攻撃参加が目立った。結果にはつながらなかったが、攻撃に関わる頻度や積極性が昨季までとは違う。
「サイドからクロスを入れたり、攻撃が増えてくれば、FC東京全体が良くなっていくと思う。前線の選手に頼らず、厚みのある攻撃ができるとも思います。その結果、(チームの目標である)得点60というのも見えてくる。セレッソ戦の後半はその兆しが見えました。自分のクロスから諒也さんがシュートを打ったりとか、高い位置で絡んでいったり、サイドからの攻撃も少しずつ出てきたので、個人もそうですけど、チーム全体で積み重ねていければ」
中村帆自身も指摘するようにFC東京のアタッカーは強力でゴールを「決められる」選手が多い。だから「どれだけいいクロスを上げられるか。本当に最後の質のところだと思っています。ボールを持ったらまずは前線の選手を生かせるようなパスだったり、クロスだったりを意識して、自分も視野を広げていかないといけない」と語る。
特段、目標の数字は設定していないが、早くアシスト「0」から「1」に記録を書き換えたいという。1アシストしなければ「その先の世界は見えてこない」との考えもある。フル出場したセレッソ戦から中3日で迎える試合であり、明日の神戸戦で出場機会があるかどうかは分からない。ただ、出番を得たなら、やるべきことは整理済みだ。チームを勝利に導くために、先の世界を見るために、中村帆高はアシスト記録のアップデートを目指す。