2021年3月7日、明治安田生命J1リーグ第2節が開催された。日産スタジアムでは、横浜F・マリノスとサンフレッチェ広島が対戦。広島が2点のリードを奪うも横浜FMが追いつき、3-3の引き分けに終わった。

上写真=勝利への強い気持ちがぶつかり合った好勝負は3-3に終わった(写真◎小山真司)

■2021年3月7日 明治安田生命J1リーグ第2節(@日産スタ/観衆4,906人)
横浜FM 3-3 広島
得点:(横)前田大然2、オナイウ阿道
   (広)ジュニオール・サントス、東俊希、ドウグラス・ヴィエイラ

・横浜FMメンバー:GKオビ・パウエル・オビンナ、DF松原健、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトン、MF岩田智輝(49分:渡辺皓太)、扇原貴宏、マルコス・ジュニオール(73分:水沼宏太)、FW仲川輝人(73分:樺山諒乃介)、オナイウ阿道、前田大然(81分:エウベル)

・広島メンバー:GK大迫敬介、DF野上結貴、荒木隼人(73分:茶島雄介)、佐々木翔、東俊希、MF藤井智也(56分:浅野雄也)、川辺駿、青山敏弘(73分:柴崎晃誠)、エゼキエウ(56分:森島司)、FWドウグラス・ヴィエイラ(67分:鮎川峻)、ジュニオール・サントス

本当にいいゲームでした(ポステコグルー監督)

 先手を取ったのは、アウェーの広島だ。1点目は敵陣深い位置でチアゴ・マルチンスにエゼキエウがプレッシャーをかけてボールを奪うとボックス内で倒されてPKを獲得。これを古巣相手にジュニオール・サントスが決めた。

 2点目はFKの流れから奪う。青山の入れたボールを佐々木が折り返したが、畠中にクリアされた。だが、そのボールをD・ヴィエイラが拾ってシュート。密集を抜けてGKの正面を突いたボールをオビがハンブルし、こぼれ球を東が蹴り込んで、広島は2-0とリードを広げた。前半30分までは広島が優勢。開幕戦、ルヴァンカップ初戦と2戦続けて引き分けており、勝利への意欲を感じさせる立ち上がりだった。

 ホームの横浜FMが流れをつかむのは、前田が独力でネットを揺らしてからだった。34分、岩田が前線に送った浮き球パスを、相手DF荒木、野上と競り合いながらも強引に収めて裏に抜け出す。GKと1対1の状況をつくると、冷静にゴールに流し込み、1点を返した。それまでも前田はプレスやプレスバックでチームに貢献していたが、この得点はチームに活力を与えることになった。

 以降は攻める横浜FM、守る広島の構図になっていく。ところが、次の1点を取ったのは、またも広島の方だった。前半のアディショナルタイムに、横浜FMが再びPKを献上することになったのだ。広島のFKの場面で右サイドから青山によって送られたボールが、ボックス内の混戦の中ではねて横浜FMの右サイドバック、松原の手に当たる。オンフィールドレビューの結果、PKの判定が下った。これをD・ヴィエイラが冷静に沈めて、広島が再びリードを2点とした。

 前に出るしかなくなった横浜FMは後半、さらに攻撃姿勢を強めた。前半30分過ぎからポゼッションを高めていたが、足を痛めた岩田に代えて渡辺をボランチに投入したことが、ギアを一段上げるきっかけになった。3トップに積極的に絡むそのプレーが攻撃の活性化を促したのだ。

 追撃弾は、54分。右サイドで粘った渡辺がクロスを上げると、ボックス内で待っていたオナイウが相手DFを背負いながらも収めて反転シュート。1点差に詰め寄る。さらに67分、今度は左のハーフスペースに走り込んだ渡辺がティーラトンのパスを受けてボックス横から進入し、寄せてきた浅野をかわしてクロスを供給。前田がダイビングヘッドでネットを揺らした。その後も互いに激しく攻め合ったが、スコアは動かず、試合は3-3で決着した。

「先行するゲームだったので、しっかり崩されない守備というものの時間をもっと長くしたかった。相手がリスクを背負ってきたところをさらにカウンタ―を仕掛ける展開に持ち込めなかったことは反省しています。ただアウェーで力のあるマリノスから勝ち点1を持って帰れるのは選手全員が勝ち点の意識を強く持って戦ってくれた成果だと思います」

 こう話したのは追いつかれる格好になった広島の城福浩監督だ。一方、追いつく形になった横浜FMのポステコグルー監督は試合を次のように総括した。

「本当にいいゲームでした。素晴らしいサッカーができていた。ほとんどの場合、自分たちがゲームを支配した内容でした。自分たちが点を与えてしまうような形となり、それでは難しい状況にもなる。ただ、選手たちは素晴らしい素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたと思います」

 攻撃姿勢を発揮し、点を取り合ったゲーム。両指揮官とも手にしたのは勝ち点1だが、今後に向けては大きな収穫があったと強調した。横浜FMは次節、中2日でアビスパ福岡とアウェーゲームを戦い、広島はホームで札幌と対戦。ともにリーグ戦初勝利を目指す。

取材◎佐藤 景 写真◎小山真司