FC東京はJ1のホーム開幕戦でセレッソ大阪に逆転勝ちした。後半アディショナルタイムに勝ち越しを決めるゴールを奪ったのが、森重真人だ。CBで先発し、後半からはアンカーを務め、決勝点まで決めた。まさに獅子奮迅の活躍ぶりだった。

上写真=決勝点をマークした森重真人(写真◎小山真司)

■2021年3月6日 明治安田生命J1リーグ第2節(@味の素ス/観衆4,768人)
FC東京 3-2 C大阪
得点:(F)田川亨介、レアンドロ、森重真人
   (C)大久保嘉人、原川力

チームを救い、勝利に導く2試合連続ゴール

 その存在の重要性を改めて示した。とくに相手を追いかけることになった後半だ。CBからアンカーにポジションを移した森重は、持ち前のボールスキルの高さと戦術眼の確かさをピッチ上で証明した。スペースを埋め、ボールを配り、効果的な攻め上がりで攻撃のリズムを生んだ。

「(前半は)中盤で相手の人数が多くなるので、そこで清武(弘嗣)選手や大久保(嘉人)選手の出入りをどう捕まえられるかでした。前半はうまく捕まえ切れなかったので、後半はそこを整理した。それと中盤でボールを落ち着かせることを意識しました」

 確かに前半は中盤で数的不利に陥り、相手にボールをうまく逃がされていた。プレスが空転するケースも散見。まずは守備面できっちり人を見ること。そして攻撃に転じた際にはボールを循環させることに気を配った。

 長谷川健太監督はこの日、東慶悟をアンカーで先発起用させたが、その理由について「開幕戦でアルトゥール(・シルバ)は、守備は悪くなかったですが、展開の部分で少し物足りなさがあった。だから今日はアルトゥールと東を入れ替えてスタートした」と説明していた。「立ち上がりはなかなかうまくいかないと思っていて、時間とともにというところで良ければそのまま押し切ろうと考えていた」が、それが叶わず、後半から森重をアンカーに移すことを決断する。その策は奏功した。

 森重は昨年終盤にもアンカーを務め、高水準のプレーを見せていたが、この日も、指揮官の期待に見事に応えた。田川亨介の同点ゴールは森重のスルーパスがきっかけ。その後の田川の連続プレスに慌てた相手のミスからゴールを奪った。再び突き放された後、レアンドロの直接FKで追いつき、迎えた後半アディショナルタイム。今度は森重自らの得点で試合を決めた。

 FKの場面で左サイドからレアンドロが上げたボールにタイミングよく飛び込み、ニアサイドでバックヘッド。視界を遮られる形になった相手GKはボールを見送るしかなかった。

「レアンドロ選手がいいボールを上げてくれました。GKに向かって蹴ると思っていたので、そこに走りこめばチャンスになると思っていて、自分のイメージと、レアンドロのボールが合致した。あのゴールで勝つことができたのは大きいと思う」

 J1開幕の浦和戦では終盤に同点ヘッドを決め、この日は決勝点をスコア。前回はチームを救い、今回はチームを勝たせるゴールをマークした。リーグ優勝を目指すチームを、獅子奮迅の活躍で引っ張っている。

「試合中、東選手が中心になって声をかけてくれて、失点したあともチームがバラバラにならずに我慢強く戦うことができました。経験ある選手がチームに落ち着きを与えてくれたと思う」と前半に1失点しながらも、それ以上は相手にゴールを許さず、うまく45分間を戦ったことが後半の反攻につながったと話す。仲間の奮闘をねぎらうことも忘れなかった。

 青赤の中心には今季も森重がいる。複数の役割を高水準でやり抜くその存在は、リーグ初制覇を目指すチームに欠かせない。