今季のJ1初勝利を目指すFC東京は今日、ホームの味の素スタジアムにセレッソ大阪を迎える(第2節)。DF渡辺剛が試合を前にオンラインで取材に応じ、今シーズンにかける思いとC大阪戦への意気込みを語った。

上写真=トレーニング中、笑顔で盛り上げる渡辺剛(写真提供◎FC東京)

復帰後に好影響を与えることを考えた

 リハビリ中で、今季のスタートから全力でトレーニングできなかった渡辺は、その期間が自分にっては貴重な時間になったという。外から冷静にチーム状態を見つめ、合流後に自身がやるべきことを整理できたからだ。それは「声を出してチームを盛り上げること」と「引き締め」だった。

 1月4日にルヴァンカップに優勝し、つかの間のオフを経てチームは始動した。フィジカル面について、多くの選手が「そこまで落ちていない」と、オフが短かったことをポジティブにとらえていたが、渡辺はメンタル面に関して危機感を感じていた。優勝でシーズンを終えて、すぐまだ新シーズンが始まったことで満足感や安心感が継続され、自信が過信や慢心になることを危惧したからだ。

「チーム全体でみるとルヴァンに優勝して、そこからキャンプインだったので、(いったん)引き締めないとこの先、リーグで勝っていけるのかなというのがありました。自分が復帰して、チーム全体に声をかけたりとか、チームにいい影響を与えられるように、それを考えてリハビリ期間は過ごしていました」

 今から11年前。聖杯を掲げた翌シーズンにFC東京はJ2降格という屈辱を味わった。カップ戦を制して、いよいよリーグ優勝を、と期待されたシーズン。選手の入れ替わりやケガ人が相次いだこともあったが、序盤は引き分けが多く、勝ち切れない試合が続いた。結局、一度狂った歯車を最後まで元に戻すことができなかった。優勝した次の年のスタートは、だからこそ大事になる。

 チームに緊張感をもたせるために渡辺は全体練習に復帰後、積極的に声を出し、厳しい姿勢でトレーニングに取り組んだ。

大久保選手を抑えて流れをつかむ

 しっかり準備して臨んだ浦和とのJ1開幕戦は引き分けに終わった。だが、先行されながらも勝負にこだわる姿勢を示し、同点に持ち込めたという点ではポジティブな面もあった。きょうの第2節、セレッソ大阪はJ1のホーム開幕戦。今季のリーグ戦初勝利を狙う。

「個人的に課題と思う部分もあった試合(=開幕の浦和戦)でしたけど、守備の部分では自分特長を出せたり、失点はしましたが、流れからの失点がなかったという部分では自分の能力をうまく出せたと思います。セレッソ戦ではそれ以上のプレーをしないといけないですし、ホーム開幕戦なので、まずはどんな形でも勝ちたい」

 相手には2試合3得点と好調なFW大久保嘉人がいる。対策を聞かれて、こう答えた。

「ずっとJリーグのトップを走っていた選手で、得点能力がすごい選手なのは分かっています。うまく止めることによって自分たちに流れがくると思う。抜け出しやクロスに入ってくるところを気をつけないと、セレッソ戦は厳しい試合になる」

 チームを鼓舞して相手の攻撃を抑え、流れを引き寄せて勝利を目指す。シーズンの流れをつかむという意味でも重要な一戦になる。過去の悪夢を繰り返さないためにも。

「学生のときからそうでしたけど、キャプテンでなくてもチームを引っ張りたいという思いを持っています。それはFC東京に入ってからも変わっていない」

 今季も副キャプテンを務めるが、確かに本人が言う通り、肩書うんぬんに関係なく、その振る舞いや言葉は、常にけん引車としての自覚と使命感を感じさせる。生粋のリーダーとは、渡辺のような選手のことを言うのだろう。