東日本大震災から10年目となる2021年シーズン、手倉森誠監督は再びベガルタ仙台を率いることになった。明日3月6日には、2011年のリーグ再開初戦の相手、川崎フロンターレをホームに迎える。使命感とともにチームを率いる指揮官が、あの日を振り返り、これからを語った。
あのとき以上の覚悟を持って
そして、今季は10年前の快進撃を再現するつもりだ。11年シーズンはいかに勝ち続けたのかを現在所属する選手たちに説明している。
「希望の光というフレーズ、リーグで躍進したチームの戦いぶり、サポーターたちの姿を映像で見せて、ベガルタには役割があるんだ、と話しています。その役割を理解しないと、このクラブでは仕事ができません。復興10年目。ベガルタは希望の光にならないといけないんです。今季は多くの勝利を届けて、あのとき以上の成績を残したいと思っています」
そのきっかけのひとつが、3月6日のホーム開幕戦になる。相手は昨季圧倒的な強さを誇り、リーグを制覇した王者。難しいゲームになることは承知の上で言う。
「今回の一戦は、きっと多くの人たちが注目してくれると思います。ベガルタからすれば、ものすごくタフなゲームになるでしょう。それでも、そこで何かを起こすことができれば、昨季の残念な思いをすべて払拭し、走り出せると思います。それくらい大事なゲームです」
昨季は17位と低迷し、選手の不祥事なども重なり、悪いニュースばかりを届けてしまった。手倉森監督はクラブの汚名を返上し、再び輝きを取り戻すことだけを考えている。簡単ではないことも自覚している。
「10年前より大きな仕事だと思います。昔以上の覚悟を持ってシーズンを戦っていかないといけません。震災から10年。主役はベガルタです」
2013年限りで仙台を離れ、リオデジャネイロ五輪日本代表監督、日本A代表コーチ、J2のV・ファーレン長崎でも監督を務めてきた。数々の試練を乗り越えてきた自負はある。
「ものすごく充実していた」
53歳となった指揮官の顔は、いま自信に満ちている。豊富な経験をベガルタに還元し、東北に希望の光を灯していく。