上写真=2019年12月以来の出場となった富田晋伍(写真◎J.LEAGUE)
■2021年3月3日 YBCルヴァンカップ第1節(@ニッパツ/観衆3,851人)
横浜FM 1-0 仙台
得点者:(横)オナイウ阿道
「特別な感情はなかった」
ベガルタ仙台の先発メンバーに、背番号17が帰ってきた。富田晋伍にとって、2019年12月7日のリーグ最終戦以来となる出場となった。
富田の仙台でのJ1出場は、301試合にのぼる。J2でも109試合に出場と、昨季までの仙台所属の16年間で、リーグ戦で2ケタ出場しなかったシーズンは1度しかなかった。
コロナ禍に見舞われていた昨夏、別の悲劇が富田を襲った。シーズンが再開した矢先、トレーニング中に左ヒザの十字靭帯を損傷し、全治6カ月と診断されたのだ。あまりに早い、シーズン終了だった。
丸1年以上、試合から離れていたことになる。見守る周囲のほうが緊張しそうだが、当の本人は「特別な感情はなかった」と冷静だった。松下佳貴と並んで中盤の底に入ると、押し込まれて我慢する時間ばかりが続いた。苦しい展開に、仙台はハーフタイムで2人を代えたが、そのうち1人が富田だった。手倉森誠監督は「1年ぶりの実戦復帰。公式戦は半分で上等。富田は45分限定だった」。富田はしっかり、ミッションをクリアしたのだ。
「試合勘やコンディションを含めて、今どれくらいできるかを確認しながらだった」という復帰戦。「結果として負けたことが悔しい」と、メンタル面もしっかり感触を取り戻しているようだ。
「これだけ長いリハビリは初めてだった。いろいろな人に支えてもらった」と、苦しかった期間を振り返る。今週末にはそうした人たちの前での、今季ホーム初戦が待つ。
迎えるのは、昨季のJ1を圧倒的な強さで制した王者・川崎フロンターレ。手ごわい相手だが、「去年ホームで1つも勝てていないので、ホーム開幕戦でぜひ勝って、その後も続く連戦を良い流れで終えられれば」。自身が不在だった間にかさんだ宿題を、仲間とともに解決する。
取材◎杉山 孝 写真◎J.LEAGUE