2月27日の明治安田生命J1リーグ第1節で、サンフレッチェ広島とベガルタ仙台が対戦。前半に退場者を出した仙台に対し、広島が先制して優位に進めたが、試合終了間際に仙台が追い付き、勝ち点1をもぎ取った。

上写真=広島が勝利目前まで迫ったが、仙台が追い付いて勝ち点1を分け合った(写真◎J.LEAGUE)

■2021年2月27日 J1リーグ第1節(@Eスタ:観衆8,820人)
広島 1-1 仙台
得点:(広)ジュニオール・サントス
    (仙)赤﨑秀平

・広島メンバー◎GK大迫敬介、DF野上結貴、荒木隼人、佐々木翔、東俊希(87分:今津佑太)、MF川辺駿、青山敏弘、浅野雄也(90+2分、エゼキエウ)、ジュニオール・サントス(76分:柏好文)、森島司(90+2分、鮎川峻)、FWドウグラス・ヴィエイラ
 ※実際のポジションで表記

・仙台メンバー◎GKヤクブ・スウォビィク、DF蜂須賀孝治、シマオ・マテ、アピアタウィア久、秋山陽介(79分:真瀬拓海)、MF上原力也、吉野恭平(87分:平岡康裕)、マルティノス(87分:赤﨑秀平)、関口訓充、氣田亮真(HT:松下佳貴)、FW皆川佑介(62分:石原崇兆)
 ※実際のポジションで表記

ピンチをしのいで同点ゴール

 風は冷たいものの、柔らかい日差しがピッチに注がれた広島地方。東日本大震災から10年という節目の年に、10年前と同じく広島がホームで仙台を迎え撃った開幕戦には、仙台のファン・サポーターも含めて約9000人の観客が詰めかけた。

 立ち上がりから広島がボール支配率で上回るものの、仙台も粘り強く守り、こう着状態が続いたが、飲水タイム明けの27分に試合が大きく動く。広島FWドウグラス・ヴィエイラのパスを受けたMFジュニオール・サントスが、ドリブルで1人をかわしてゴールに迫ると、追走してタックルで倒した仙台DFシマオ・マテが得点機会阻止で退場となった。

 数的優位に立った広島は、すぐさま33分にスコアを動かす。エリア外での細かいパス交換からフリーとなったJ・サントスが放ったミドルシュートが、シマオ・マテの退場でボランチからCBに下がった仙台MF吉野に当たってコースが変わり、ネットを揺らして先制点となった。

 後半、広島はセットプレーなどでチャンスを作るものの、勝利に近づく2点目を奪えない。仙台もMF関口や、後半途中からFWに移ったマルティノスなどのドリブル突破に活路を見いだそうとするが、なかなか良い形を作れなかった。

 勝負の分かれ目となったのは85分のプレーだった。広島はエリア内右からのセンタリングに、ファーサイドからフリーで飛び込んだDF東がヘッドで合わせたが、決まったかと思われたシュートを仙台GKヤクブ・スウォビィクがスーパーセーブでブロックし、追加点を許さない。

 仙台の粘りが報われる同点ゴールが生まれたのは、試合終了間際の90分だった。左サイドでボールを持った関口がドリブルで中央に進み、右足でシュートを放つ。これは広島DF今津がブロックしたものの、こぼれ球を87分から交代出場したばかりのFW赤﨑が押し込んだ。

 そのまま1-1の引き分けに終わり、最後の最後に仕留め切れなかった代償を払った広島に対し、仙台が価値ある勝ち点1をもぎ取った。仙台の手倉森誠監督は「守備から入ろうというゲームプランの中で、数的不利になり、1点ビハインドになったときは、いかに追加点を与えないかというゲームの進め方(を考えた)」と振り返り、「勝ち点1を持って帰れれば御の字で、同点にできたからといって(勝ち点)3を取りにいってはダメだ、と話していた。そういう意味では良い時間帯の同点ゴールだったと思う。全員が勝ち点1のために働いた成果。仙台のこれからの可能性を示せたのではないかと思う」と選手たちを称えた。

現地取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE