開幕戦の対戦カードごとに行ったJリーグのオンライン会見で、アビスパ福岡の長谷部茂利監督と名古屋グランパスのマッシモ・フィッカデンティ監督が登場。ともに堅守を自慢とするチームはどう戦うのか。

上写真=長谷部茂利監督(左)とマッシモ・フィッカデンティ監督。ともにハードな守備を仕込んでいる(写真◎スクリーンショット)

■2021年2月28日(日)13:00KO J1第1節(@ベスト電器スタジアム)
アビスパ福岡 対 名古屋グランパス

「全力でぶつかりたい」とホームの長谷部監督

 J1の開幕節では唯一、2月28日日曜日に行われるのがこのアビスパ福岡対名古屋グランパス戦だ。福岡にとっては2016年以来の「J1カムバック戦」となる。

 その相手が、J1で昨季3位に食い込んだ名古屋。いきなりの強豪とのゲームで長谷部茂利監督も警戒を強める。

「優勝候補の名古屋さんに全力でぶつかりたいと思います」

 昨年、J2で2位に入る武器になったのは、堅守速攻だった。まさにその堅守速攻の権化のような名古屋に立ち向かっていく構図になるだろうか。受けて立つ格好になるのがマッシモ・フィッカデンティ監督。しかし、緩みはない。

「どう思われているかは関係なく、Jリーグではバランスの取れた結果になります。開幕から何試合か、こんなにいいサッカーをするとは思わなかった、とか、ぶっちぎると思っていたチームがコケたりすることもあるので、一切油断せずしっかりやりたいと思います。福岡は去年、昇格を決めて勢いがあると思うので、プラスのパワーがあると思って準備したい」

 どちらもベースは、突破するのが難しい守備にある。だから、守り合いというよりはどうやって割って入っていくかの知恵比べるになるかもしれない。長谷部監督は相手の守備について慎重に話す。

「(名古屋は)スキのない守備をしていると思います。こじ開けるのは簡単ではないという印象が強いです」

 フィッカデンティ監督も印象は同様で、そもそもの守備への哲学を明かした。

「どちらもリーグ戦で結果を出したチームです。カテゴリーは関係なく、そのリーグで簡単に崩されない堅いサッカーができる部分は、上に行くには欠かせないものです。それをベースとして持てているチーム同士の対戦だと思う」

 現実的な勝利のための素地はどちらにもあるということだ。当然、新チームのお披露目にもなるから、昨年までのベースに上積みをもたらす新加入選手のパワーも大きなポイントになる。名古屋の大型補強はオフシーズンの大きな話題になった。

「彼らがどういったものを持ち込んできて、どういったものがすでに名古屋にはあって、そこにどう合わせていくかについては、すごくいい状態ではないかと思っています。ポジティブな形でいまの名古屋をより強くするためにどういう取り組みをすべきかと行動してくれているので、まだ時間はかかりますけれど、アプローチの仕方は大正解のやり方でやっていると思います。続ければ続けるほど力は生きてくるでしょう。
 もともと実力ある選手が来てくれたので、繰り返しになりますが、名古屋のどういった部分に彼らの力を提供すればいいかをよく考えながらやってくれていると思います」

 フィッカデンティ監督が胸を張るそのニューパワーの一端が、開幕戦で見られるだろう。一方で、長谷部監督も新しいメンバーに大きな期待を寄せる。

「選手がだいぶ変わった中で、選手同士でもそうですし、チームのトレーニングでもコミュニケーションを取って形にはなっています。まだまだ修正しなければいけないところはたくさんありますが、試合をやっていく中でよくなっていくと思っています」

 シンプルに言葉をつないだ長谷部監督と、饒舌なフィッカデンティ監督。対照的な指揮官の姿からは同じように自信をぶつけてくる意欲が伝わってきた。堅守からの攻め合い、熱くなりそうだ。