上写真=2021年の大注目の一人、三笘薫。新しいシーズンでさらに輝く(写真◎Getty Images)
「いろいろなところでワクワクしています」
三笘薫のプロ1年はものすごかった。左ウイングとしてベンチスタートから始まり、徐々に先発を勝ち取って、最後はリーグ制覇の主役の一人になった。背筋の伸びた美しい所作からのドリブルはもちろん、ゴールも13を決めていて、J1におけるルーキー選手の最多得点タイをマークした。その姿はまさしくサクセスストーリーの主人公。
ド派手な活躍をすれば当然、対戦相手の警戒心はマックスになる。三笘はどんな対策を組み込んでいくのか。
「1対1で普通にシンプルに勝つところは、特別にマークされてもされなくても必要なので、その実力をつけないといけないんです。それに、他のチームメートのレベルが高いので信頼して、ボールを持たないときの駆け引きや裏への抜け出しといったようなオフ・ザ・ボールのところで成長していけばもっと脅威になると思います。オンもオフも課題だらけなので、まだ伸びしろがあると感じていますし、プロ2年目で相手がどのような感じで来るかは分からないんですけど、あまり変わらないかなとも思っているので、リラックスした感じでいきたいなと」
というわけで、いい具合に肩の力が抜けている。
もう一つ、スタイルに付け加えたいのはミドルシュートだという。
「去年の全部のゴールを分析すると、ペナルティー・エリアの中でワンタッチやツータッチで決めたゴールが多かったんですね。エリアの外からのシュートや相手を外してからのシュートが少なかったので、そういうところを長所にしていければと思います」
なぜミドルシュートなのか、というと、いくつか理由がある。
「ミドルを警戒して相手が前に出てくることになればワンツーもできますし、プレーに幅がある選手の方が相手は飛び込めないし嫌がると思います。もっともっとプレーのバリエーションを広げないと世界ではやっていけないと思っています」
「自分のプレーを見て客観的に分析すると、味方のアシストに助けられたり、偶発的というか、こぼれ球を押し込んだりと、2度とないようなゴールも多かったんです。自分から作り出したチャンスを仕留められないと、怖い選手にはなっていかないと思います」
相手を嫌がらせること。再現性の高いゴールを増やしていくこと。その結果、怖い選手になること。ミドルシュートを意識することで、そこに近づくことができるという考えだ。
2021年は東京オリンピックが開催される予定になっていて、そこでプレーする目標もあるし、日本代表に入る可能性も高いと感じさせる。2月20日のFUJI XEROX SUPER CUP 2021では、ガンバ大阪から2ゴールを奪って優勝に貢献する幸先の良いスタートも切った。1年前とは比べ物にならないほどのスポットライトを浴びている。
「プレッシャーというよりは、自分自身、去年の活躍がある中でどれだけのパフォーマンスができるのかの楽しみの方が大きいですし、新しい選手も入ってチームとしてどれだけやれるか楽しみもあります。ACLや違ったことも楽しみで、いろいろなところでワクワクしています」
楽しみでしかない2021年。どこまでたどり着くのか、応援する人たちにも見届ける楽しみがある。