上写真＝後半アディショナルタイムに谷口彰悟のヘッドを防ぐなど、随所に好プレーを見せた東口順昭（写真◎小山真司）
■2021年2月20日 FUJI XEROX SUPER CUP 2021（@埼玉スタジアム/観衆4,208人）
川崎フロンターレ 3-2 ガンバ大阪
得点:（川）三笘薫2、小林悠
（ガ）矢島慎也、パトリック
もっともっと攻撃は楽しくなる
今年の元旦、川崎フロンターレとの天皇杯決勝で0-1で敗れたあと、G大阪のGK東口順昭は「怖かったですよ」と相手の攻撃力を認め、率直な思いを口にした。そして「これが自分たちのいまの実力で、川崎が上回ったということ。真摯に受け止めて来季は盛り返せるサッカーをしたいと思います」と成長を誓った。
あの日からまだそれほど時間は経っていないが、この日のゼロックス杯は、どれだけ差が縮まったかを知る絶好の機会だった。G大阪はシーズン前のキャンプでパスをつなぎ、ゲームをコントロールする戦い方を習得すべくみっちりトレーニングを積んだ。昨季3度、敗れた相手を打ち破るために、さらなる高みを目指すために新スタイルの習得が必要だと考えるからだ。
しかし、この日の試合は前半のうちに三笘薫に2ゴールを決められてしまう。しかも最初の失点（29分）の3分後に2失点目を献上。嫌な流れになった。
ところが、元日の試合とは異なり、そのまま押し切られるようなことはなかった。「盛り返す」力を示すことに成功したのだ。東口が振り返る。
「前半から手応えは感じていました。そんな中で2失点してしまい、少しネガティブなところはありましたけど、ハーフタイムではそんなに落ち気味な雰囲気でもなく、しっかりできるという自信が（チームに）ありました。（後半）そこから2点を自分たちの力で取って自信になった。キャンプでやってきたことが実を結んだと思いますし、その精度をもっと上げていければ、もっともっと攻撃は楽しくなるんじゃないかと思います」
G大阪は、60分に矢島慎也、67分にパトリックがネットを揺らし、同点に追いついた。結局その後が続かず、後半アディショナルタイムに失点して、またも1点差で敗れることにはなったが、それでも東口は前向きだった。「押し込まれた中で2失点して少し相手のペースになった部分もありますけど、そこから2点返して、どちらか分からない試合に持ってきたというのは自分たちが積み上げてきたもので、自信になりますし、最後勝ち切れなかったというのはまだまだ改善しないといけない部分ですが、両方が出た良い試合だったと思います」。敗れはしたものの、J1王者との差が着実に詰まっていると実感できたことは大きかった。
「今日に限っては1対1ではがされて、どちらかと言えば自分たちのミスというか甘さでの失点だった。だからまだまだ改善していける。GKとしてああいうところを止められたら、チームを救えるので、もっと突き詰めていきたい」
悔しい結果には違いない。ただ、チームとしても東口個人としても、その後につながる『実りある』敗戦だった。