まさに電撃的な復帰劇だ。2月18日にアビスパ福岡が発表したのが、サガン鳥栖から金森健志を完全移籍で獲得したというリリース。5年ぶりの復帰となるアタッカーは、同じ九州のライバルからの移籍を覚悟を持って決断した。

上写真=驚きの復帰となった金森健志。故郷のクラブで大活躍を誓う(写真◎スクリーンショット)

鳥栖サポーターへ「優しさと温かさは忘れない」

 アビスパ福岡のサポーターにとっては、最高のサプライズだっただろう。開幕まで10日というタイミングで、金森健志の5年ぶりのカムバックが決まったのだ。

「ずっと帰りたいと思っていて、やっとオファーをいただけてうれしかったんです。即決でした」

 笑顔でいっぱいの会見になった。

「福岡で生まれて育って、アビスパにいた経験があったからこそいまの自分があると思っています。プロ生活をスタートした場所ですし、プレーでいままでの恩返しをしたいです」

 故郷への、アビスパへの愛情が復帰の原動力になった。2013年から16年まで所属し、活躍が認められて17年から鹿島アントラーズへ、そして19年途中から鳥栖へと移っていった。今回は同じ九州、隣県のライバルからの加入で、13日までは鳥栖の一員としてキャンプに参加していたから、まさしく電撃的なニュースとなった。

 練習初日となる2月18日、福岡には大雪が降って、「僕が移籍してきて福岡がびっくりしたのか、大雪が降って練習があんまりできないという奇跡が起きました」と自分でも笑いにしてしまうほどの急転直下。鳥栖のファン・サポーターにはクラブを通して「サガン鳥栖ファン、サポーターの皆様、1年半ありがとうございました。鳥栖のファン、サポーターの皆様の優しさと温かさは、この先忘れることはありません。鳥栖のユニフォームを着て戦えたことを誇りに思います。本当にありがとうございました」とあいさつしたが、ライバルクラブ間の移籍は大きなニュースになった。

「どこのクラブにいても全力を尽くして自分らしくやろうと思っているので、福岡に来たからにはプレッシャーや雑音をはね飛ばせるように活躍して、変わったなと思われる活躍をしたいです」

 その覚悟はピッチで示すしかない。

「攻撃だけではなくて、守備のハードワークができる選手になったのではないかと思います」という自己評価は、長谷部茂利監督が求めるスタイルにマッチする。

「いまのアビスパは前からアグレッシブにハードワークするサッカーで、自分に合うと思います。必ず活躍できると思っています」

 もう一つのストロングポイントは、ポジションにとらわれずに戦えることだ。

「僕はサイドもフォワードもできる選手なので、その両方をやりながら、あとは自分の持ち味である推進力や得点に絡むところが求められているので、そこをやっていきたいと思っています」

 当面の目標は、ただいま、と言えること。

「アビスパ福岡に帰ってくることができて、すごくうれしく思っています。感謝の気持ちをピッチで表現して、気持ちよく『ただいま』とインタビューで言えるように頑張りたいと思います」

 新しい背番号は37。少し見慣れない大きな番号を躍らせて活躍し、一刻も早く、最高の「ただいま」が聞きたい。

金森健志(かなもり・たけし)
■ポジション:MF
■生年月日:1994年4月4日
■出身地:福岡県
■身長/体重:171cm/74kg