湘南ベルマーレの中村駿が12日、オンラインで取材に応じた。ホームで戦うサガン鳥栖との開幕戦は2週間後。新加入のMFは、「声」に自分の進化の可能性を見いだし、自身初めてのJ1での戦いに向けて準備を進めている。

上写真=積極的な姿勢でトレーニングしている中村駿(写真◎湘南ベルマーレ)

自分がどれだけ声を出せるか

 ザスパクサツ群馬でプロ1年目でシーズン途中から定位置をつかみ、翌年にはモンテディオ山形に移籍。山形でも4年間のJ2暮らしが続いたが、ついにJ1の舞台へとたどり着いた。開幕戦が2週間後に近づき、「開幕のピッチに立つことを考えて、すごくワクワクする。ここに入ると決めたときから持っている気持ち。それがどんどん大きくなっている」。27歳の誕生日の3日後に迎える舞台を、そう思い描いている。

 開幕戦出場を具体的に想像できる理由がある。「ボールを持ったときには、自分の良さを出せていると思う。湘南の強度の高いトレーニングの中でも、1タッチのパスや展開力は出せている。そこは自信を持ってやれるところかなと思う」。J2で過ごした時間は、確実に血肉となってきた。

 湘南のフォーメーションは山形時代にも経験があるという。当時はうまくフィットできなかったシステムではあるが、同じ3ボランチでも今回は中央に入り、「湘南に来てからはそんなに悪いイメージはない」と変化を感じている。「ウイングバックの動き出しが目に入ってくる。自分が持ったときには確実にアクションを起こしているので、すり合わせていくだけかなと思う」と、試合出場が射程に入る。

 他にも変化を感じる部分がある。「選手一人ひとり真面目だし、そう聞いてはいたけれど、実際に一緒に練習しても感じた。練習中にしゃべる回数も多い。それが、これまで自分がいたチームとは違うところかなと思う」。仲間と自分をつなぐその「声」が、成長の鍵になるかもしれない。

「守備で前から行くときは、自分の声が一番大事になると思う。どれだけ周りを動かせるかは監督に求められることでもあるので、キャンプでも意識してやっていた。もっと伝えながら、自分がやりやすいようという言い方が合っているか分からないけれど、そこに近づけていけたらもっとよくなんじゃないかと思っている」

 自身のことを、「コミュニケーション能力にたけている方ではないと思う。自分をさらけ出すとうのはあまり得意ではない」と分析している。だが、それは伸びしろでもある。「まだまだ自分の良さは出せていない。もっと分かってもらうよう、短いけれども開幕までの時間でもっと皆に伝えていけたらなと思う」という新たな努力が、進化につながると自覚する。

「来たからには、1年目からチームに貢献しないといけないと思っている」。そう語る中村の成長が、湘南を見つめる人々の期待も高める。