JリーグYBCルヴァンカップの優勝で2020シーズンを終えたFC東京。今季は悲願のリーグ制覇を掲げるが、そのためにはこのベテランセンターバックの存在は不可欠だ。森重真人はプロ16年目のシーズンを前に、充実の時間を過ごしている。

上写真=この笑顔! 森重真人は沖縄キャンプでの充実ぶりが伝わってくる(写真◎FC東京)

「気の緩みやセットプレーからの失点を減らしたい」

「個人的なキャンプの目標はケガをしないということで、それをクリアできているので充実していると思います」

 森重真人は沖縄キャンプで最高の時を過ごす。「疲れが抜けない。2日たっても体が痛いので、年齢的なものは感じています」と笑うが、プロ16年目のシーズンに立てた目標は「リーグ戦全試合出場」だ。

「チームとして、そして個人としてはリーグタイトルが一番大きな目標ですが、もっと個人的なところでいえばリーグ戦全試合出場が目標になります」

 2020年は超過密日程だったこともあってローテーションを組む必要もあったために、28試合の出場に留まったが、逆にこのことで確証も得た。

「昨年、かなりのハードスケジュールでやっていく中で、でも不可能ではないな、ということも感じました。もちろん、戦術的な部分や監督の考え方もあって全部出るかは分からないけれど、そこを自分の中で前提にして準備することでいろんな見え方が変わるというか、最初からきついと思うのではなくてまず準備して待ち構える方がいいと、昨年1年やって感触を得ました。それを今年もやってみたいと思って」

 自身のコンディションを整えていくことは大前提。だからといって特別なことは考えていないという。これまでの方法論がフィットしているのだろう。

「そんなにやるべきことは変えるつもりはないですし、いまの段階では大まかに目標を立てているわけです。シーズンが始まればそのときどきに起こったことを考えて、目の前のことをクリアしていくということです。一つ終わればその次を考える。そうやって1年を通して試合に出たいと思います。何をするのかはそのときのコンディションやチーム状況で変わってくるので、そのときどきで判断して積み重ねていくことが目標達成につながると思っています」

 競争もある。新加入センターバックのブルーノ・ウヴィニはいつ入国できるか確定しておらず、ようやく契約更新が決まったジョアン・オマリも自主隔離期間中。いまは、森重を目標に自らを高めようとする若いセンターバックと争う日々だ。岡崎慎や蓮川壮大、大森理生といったフレッシャーズが仰ぎ見ている。

「これは僕自身がそうだったように、いいセンターバックを隣で見ながら成長できたので、今度は逆に自分が見られる立場にあると思います。それにふさわしいプレーを見せたいし、若い選手もいろいろな選手を見て成長していってほしいと思います」

 自分から懇切丁寧に手取り足取り教えるわけではない。自分自身で盗んでいかなければ身にならないと分かっているからだ。

「もちろんサポートが必要なときはしゃべりますけど、僕自身もまだまだプレーヤーですし、すべてを教えることが正解ではないですからね。自分が成長するために自分で盗まなければいけない部分があります。それも本人次第だと思います」

 キャンプでは2月3日にジェフユナイテッド千葉に2-3、7日に京都サンガF.C.に2-6と、練習試合は結果的には2連敗。

「失点シーンを振り返ると、集中力を欠いた部分がありました。チームとして問題があるというよりは、個人個人が試合にぐっと入れていない部分があると感じています。そういったところの気の緩みやセットプレーからの失点を減らしたいと思います」

 現実から逃げずに厳しい言葉を投げかけるのは、自身が高まっている証拠でもある。13日にはキャンプを打ち上げ、いよいよ開幕モードに突入していく。