柏レイソルではオルンガの移籍に伴い、アタックの再編成が急がれるが、攻撃スタッフの一人として、仲間隼斗はそのピンチを逆手に取ろうと頭の中を切り替えている。みんなが点を取れるチームへ再構築への意欲を語った。

上写真=いつでもアグレッシブなのが仲間隼斗の持ち味。2021年も走り回る(写真提供◎日立柏レイソル)

「逆に大胆なゴールが取れるのが多い」

 仲間隼斗はロアッソ熊本、カマタマーレ讃岐、ファジアーノ岡山と9年間をJ2で戦い、2020年、アカデミー時代を過ごした「故郷」である柏レイソルに戻ってきた。長い旅の先に、まさにホームである日立台で躍動した1年だった。

 柏での2年目は、順調なスタートのようだ。

「いい意味で慣れてきていますね。周りのレベルも知った上でキャンプに入れているので、そういう意味ではすごく慣れてきて、視野が広がっている感覚があります」

 広げた視野は、まずは攻撃面で生かしたい。昨季28ゴールを奪ってMVPと得点王の両方を手にしたオルンガが抜けて、アタッカー陣の一人としては、黙っているわけにはいかない。

「まだまだですけど、意識としてはみんなが点を取れるようにならないといけないと思います。自分が意識しているのは、去年よりもっと積極的にゴールを見なければということ。ゴール前のクオリティーやチームプレーはもっと高めないと。もちろん、ミカ(オルンガ)が抜けた分を補うのはなかなか難しいと思いますけど、みんなで緻密に言い合って高めていきたいと思います」

 大砲不在を逆手に取って、誰でもどこからでもゴールを奪えるスタイルにしていく。そのプロジェクトの重要な一員なのだ。ゴールから逆算して、関わる人を増やすこと、より前方に押し込んでプレーを進めることを目指している。

「今年はチームとして、ミカがいない分は前線でタメを作ったり人数をかける必要があります。自分としてはそういうところの一つのポイントになってゴールをたくさん取りたいですし、もちろんチーム全体で崩すこともやっていきたい」

「フィニッシュの質を高めていくのは毎年の課題で、そこにプラスして、今年は全体としても去年よりもう一つ前でプレーしなければいけないという感じもしています。去年よりはいいものを作っていかなければいけないと思います」

「チームとしてもうちょっと前がかりになったプレーができれば、ゴールに関わる回数が増えていっていい数字を残せるのではないかと思います」

 低い位置から一気に前線へ、というスタイルでは、重心が後ろに下がったままのややアンバランスな攻撃になりがちだ。それを改善して、しっかりと前進して攻略するイメージを描く。その上で、自分自身のフィニッシュワークを研ぎ澄ませなければならない。

「自分はシンプルというか、簡単なシュートを決めるのはなかなか難しいですね。逆に大胆なゴールが取れるのが多い気がしています。J1はなかなか大胆なプレーをさせてもらえないですから、もっと冷静な判断の中で決めるゴールを増やさなければいけないと思っています。キーパーのレベルも高いし、駆け引きがある中で取れるようにしないと継続してゴールは重ねられません。今年はそこの質を高めたいと思います」

 29歳になる年に、自分のプレーを分析する余裕と落ち着きを示す。もちろん、持ち味の火花を散らすような積極性は忘れずに。

「そこの良さをなくしてしまうと自分ではないですからね。どんどん突き詰めて取り組みたいと思います」

 大胆でありながら、繊細に。仲間の2021年のテーマはこれだ。