横浜FCのMF松尾佑介が開幕に向けて着々と準備を進めている。昨年10月に左肩を負傷し、長期離脱することになったが、順調に回復し、キャンプでコンディションを上げてきた。若きアタッカーが覚悟を持って2021年シーズンに挑む。

上写真=キャンプで新加入選手との連係を深めた松尾佑介(写真提供◎横浜FC)

あんな形で出て行くわけにはいかない

 昨シーズンがJ1初挑戦。残した数字は20試合7得点。持ち前のスピードでピッチを駆って、存在感を示したが、10月14日のベガルタ仙台戦で左肩鎖関節を脱臼し、その後の12試合を欠場した。直後に手術を受けることにもなった。

 本人にとってはJ1でやれるという手応えをつかんだ一方で、悔しい思いも残るシーズンになった。「僕自身も、手術というのは初めてで。ピッチから半年離れるケガはこれまでもあったんですけど、またそれとは違って、満足に体が動かせない中でチームの試合を外から見るというのは、少し寂しい思いはありました」。当時の心境については、こう振り返った。ただ、歯がゆい思いを抱える中で、「僕自身を支えてくれる人がいる周りの人がいるということを強く感じました。そういう人たちのためにも僕はまた強く戦わないとダメなんだと。気持ちのところですけど、またさらにプロとしてやっていく覚悟ができました」と、新シーズンに向けて意気込みを口にした。

 1次キャンプ、2次キャンプを終えて、コンディションは「60パーセント」。負傷箇所の状態を見つつ、開幕に向けて調整を続ける松尾は、その中でチームのポジティブな変化も感じていた。

「僕は個人での打開も武器なので、それもありながらも、連係を深めていけば、とても厄介なチームになっていくと思います。誰でも得点を決められるような迫力のあるチームになれると思います」

 相手に的を絞らせず、複数の選手がゴールを生み出すのが理想的な攻撃だ。その準備が着々と進められているとの実感がある。

「2トップに多く選手が入りましたし、J1のトップで長くやっていた選手も多い。J1でどういう動き出してどうやれば通用するのかを肌で感じさせてくれると思いますし、そういう選手たちに合わせていければ、また僕も成長できる。練習から合わせるのもそうですし、見て学べたらと思います」

 オフに獲得オファーがなかったわけではない。ただ、松尾は残留を決めた。理由は「ここで成長させてもらったので、あんな形で(ケガをした状態で)行くわけにはいかないなという思いがありました。まだまだ僕にはここで学ぶべきことがたくさんある。みなさんが知っているような選手たちがいますし、その意味で、ここで成長できると思ったので、それが(残留の)一番の理由です」。並々ならぬ覚悟がある。

 昨季も掲げた2ケタ得点という目標を、今季はきっちり達成するつもりだ。

「チームの層は厚くなりましたけど、そのぶん、ピッチに立てるのは11人なので、競争は激しくなる。僕自身、ピッチに立てるように、努力したい」

 プロ2年目のシーズン、松尾佑介はさらなる飛躍を誓っている。