現在、FC東京は沖縄でキャンプ中だ。6日にはDF中村帆高がオンライン取材に応じた。大卒ルーキーとして過ごした1年を経て、プロとしての経験をしっかり積んだ一方で、課題も見えた。新シーズンは攻撃面で昨季上の結果を出すと誓っている。

上写真=沖縄キャンプでトレーニングする中村帆高(写真提供◎FC東京)

東京を代表する選手になりたい

 2年目のジンクスは自ら打ち破る。むしろ、さらなる飛躍のシーズンにするべく、中村帆高はキャンプに臨んでいる。昨季は大卒ルーキーながら、28試合に出場(先発19試合)。1ゴールをスコアした。とりわけ評価を高めたのは、守備面。試合のたびに成長を見せ、体を張った粘り強い守備と労をいとわないハードワークで新人らしからぬ存在感を示した。

 その一方で、攻撃面では明確な数字を残せなかったのも事実だった。カタールで集中開催されたACLから帰国して臨んだ最初のリーグ戦、31節の広島戦では決勝点をスコアしたが(1-0)、サイドバックとして求められるアシストはシーズン通してゼロに終わった。

 本人もそのことを自覚している。

「数字を残したい。アシストだったり、もちろん得点も。ただポジション的に、アシストにはとことんこだわっていきたいと思っています。去年のデータとかを見てもサイドからの攻撃や得点がほぼなかった。もっとサイド攻撃を活性化させたい。それが東京のストロングポイントになって、サイド攻撃からアシストできれば、前線の3枚の選手だけに頼らず、もっと厚みのある攻撃ができると思う。それを踏まえて、アシスト数にはこだわりたいです」

 自身の課題はチームの問題でもある。そもそも両翼が存在する3トップを採用していた影響も少なからずあるが、オーバーラップやインナーラップを行なうタイミングがなかったわけではない。問題はタイミングとクロスの精度。キャンプでは「攻撃にどう絡んでいけるか。最後の局面でのクロスの練習とか、迫力を持ったオーバーラップというのは意識してやっています」と中村は話した。

「若い選手が、チームを底上げしていかないと。経験の少ない選手が、どんどん思い切ってやってチームの力になれれば、それが一番、底上げになる。チームももっといい方向にいく。自分がポジションをつかみ取ることもそうですし、ずっと言っていることですが、チームを勝たせられる選手、東京を代表するような選手になりたい。気を引き締めてやっていきます」

 長谷川健太監督も指摘しているところだが、昨季は室屋成が夏に移籍して以降、サイドバックによる攻撃参加の回数が減ってしまった。それは数字にも表れている。中村がサイド攻撃の担い手になれれば、当然、FC東京の攻撃の幅は広がり、厚みも増す。

 中村自身が繰り返し口にする「チームを勝たせる選手になる」ためにも、アシストは分かりやすい「結果」だろう。2021年は積極果敢に、そして効果的にピッチを駆け上がる、背番号37の姿が見られそうだ。