サガン鳥栖での印象的なプレーで、プロ2年目にして新しいステージに駆け上がることになったのが森下龍矢。右サイドバックとしてアグレッシブな攻守で魅了してきたが、名古屋でもアピールするのはゴール。チームに刺激を加えようとしている。

上写真=森下龍矢はそのプレースタイルと同様、堂々とはっきりと決意を話す(写真◎スクリーンショット)

「部屋に帰ってノートにいろいろ書いて…」

 サガン鳥栖からやって来たプロ2年目の元気印が、名古屋グランパスでもその生きの良さを発揮しそうだ。

「強みは守備の対人と、攻撃のときにゴールに直接つながるようなプレーというところなので、目に見えるゴールという形でアピールしていきたいと思います」

 ポジションはサイドバック。だが、アピールの材料の一つに「ゴール」が含まれている。それだけフィニッシュに自信があるのだ。

 プロ初ゴールからしてすごかった。2020年J1第8節のFC東京戦。前半終了間際の43分に右サイドで受けてゴールに向かって持ち出すと、そのまま20メートルほどの距離から左足でズバリと突き刺した。そのときに「ゴールと自分が線でつながる感覚があって」と話していて、その不思議な感覚に導かれるように、第19節のFC東京戦では右深くからカットインして左足で蹴り込み、続く第20節の横浜F・マリノス戦では、左CKからのこぼれ球を右足でパワーで叩き込んでみせた。

 昨季は攻守に圧倒的な運動量を見せて33試合に出場し、ルーキーとは思えないほどの大活躍。すぐに名古屋が引き抜いたのもうなずける。その新天地ではマッシモ・フィッカデンティ監督の細かい戦術を自分のものにしようと、必死の日々が続く。

「新しい戦術が多い中で、毎日学ばせてもらっています。まずはチームのやり方を覚えないといけないので、単純なんですけど、部屋に帰ってノートにいろいろ書いてみたりと、細かいことですけど戦術を一つひとつ覚える努力をして、チームの枠組みの中で良さを出していくというのは意識してキャンプに臨んでいます」

 ノートにどんなことを書き込んでいるのかは興味津々。ほかにもこのキャンプでは専属のトレーナーについてもらってメンタルトレーニングを導入するという、新たな取り組みも始めた。こうした小さな努力の成果は、ピッチで見ることができるはずだ。

 課題についてもしっかり整理できている。まずは守備について。

「つぶしておきたい課題は、監督にいろいろ指導してもらう中で守備のやり方やセットプレーの守備の下げ方など、覚えていかなければいけない部分があります」

 細かい決まり事をすべてインプットしておくことは、特にDFだけに必須の作業。それをキャンプの間にすべてクリアにしておきたい。

 もう一つは、左サイドでの対応。

「左サイドは学生時代にやっていたこともあるので、そこまでやりにくいところは感じません。ただ、場所分けをすると、アタッキングゾーンでは自信があるんですけど、ビルドアップのところでは右利きということもあってオープンに置けない状況が続いています。そこが僕の進化というか課題になってくると思うので、左足でオープンで止めるというのは練習していきたいなと思っています」

 左サイドに張ってボールを受けたときに、利き足の右で止めれば体は内側を向くことが多くなる。これが左足で止めればオープン、つまりサイドのエリアに体を開くことが可能になる。その使い分けのためには、左足の前にボールを置けるかどうかがポイントになるというわけだ。