上写真=充実したトレーニングができていると話した遠野大弥(写真提供◎KAWASAKI FRONTALE)
全然ダメだと言わせない
始動から一週間。新戦力として加わった遠野大弥は「日々勉強になっている」と感想を語った。
「自分自身、成長している手ごたえがある。パスの精度とか自分に足りないものを日々学ばせてもらっていますし、基本的な部分、止める蹴るが本当にレベルが高いので、そこは痛感しています」
外から見て感じていた以上に、中に入って基本技術の高さに驚いたという。川崎Fの練習に参加した新加入選手が総じて感じる感覚を、遠野もやはり実感していた。
ただ、面食らっているばかりではない。その中で自身が取り組むべきこと、示すべきものをしっかり整理している。
「ゴールに向かうプレーや直結するプレーは、ここでも通用すると思っています」
「前線の層は厚いですけど、僕にしかできないターンの部分だったり、ポジショニングだったり、そういった(他の選手とは)違う部分を出していきたい」
自身に足りない止める蹴るの技術やパスの精度を上げていく一方で、特長を最大限発揮することが何より重要だと自覚する。昨季、プレーした福岡でもそうだった。Honda FCから川崎Fに加入し、期限付き移籍して福岡でプレーすることになったが、Jリーグ初挑戦ながら自分を出し切り、結果を残した。41試合に出場し、11ゴールを記録。チームのJ1昇格にも大きく貢献した。
「僕自身、1年目で出来過ぎかなと思う部分もありました。J1も昇格も経験させてもらいましたし。ただ、自信にもつながりました」
圧巻だったのは終盤、昇格がかかったヒリヒリとした状況で実現した39節からの3試合連続ゴールだ。文字通り、昇格の立役者になった。アマチュアからプロへと立場を変えた1年目で結果を出したことで、遠野の自信は大きく膨らんだ。
「勝負強さは僕の長所だと思っています。そういうところで決め切れる選手が、いい選手だと思っているので、そこは今後も磨いていきたいです」
初めてのJ1。初めてのACL。今季も遠野にとっては初体験は多いが、臆することなく進んでいくつもりだ。「お前ならもっと上でできるよ」。Honda FC時代に古橋達弥にこう言われたことがあるという。古橋は遠野と同じく、Honda FCで実績を積み、プロの道に進んだFW。セレッソ大阪やモンテディオ山形、湘南ベルマーレで活躍し、再びHonda FCに戻って昨季限りで引退したレジェンドだ。
「新しく入って、全然ダメだということは言わせずに、ACLもあるので四冠に向かって、僕自身チームに貢献していきたいと思っています」
偉大なる先輩の言葉を胸に、プロ2年目のシーズンもしっかり結果を出すと誓う。1年目から輝かしい結果を書き記した遠野大弥の立身出世物語は、まだまだ続いていきそうだ。