名古屋グランパスは沖縄キャンプの真っ最中。チームリーダーとしての期待がますます集まる吉田豊も、しっかり鍛えている。サイドバックのポジションを争う後輩へのアドバイスを、同時に自分に言い聞かせてさらなる成長を求めている。

上写真=順調にメニューをこなしていく吉田豊。まずは体を鍛えることを意識する(写真提供◎名古屋グランパス)

柿谷は「あんなに守備をしてくれるんだな」

 DF登録選手の中で、同じ学年の丸山祐市とともに最年長だ。年齢でサッカーをするわけではないが、自然とリーダーとしての振る舞いもにじみ出てくる。

「ポジション争いの刺激はありますし、年齢が高くなって、森下(龍矢)にしても成瀬(竣平)にしても(宮原)和也にしても、分からないことがあったら僕に聞いてきてくれます。僕が自分に言い聞かせるつもりもありますし、分からないことを伝えるという意味で、みんなが良いライバルというか競争意識があるので、これからもレベルアップできますし、チームとしても上がっていくと思います」

 サガン鳥栖から生きの良い森下が入ってきて、サイドバックのポジション争いが活性化されていくが、他のポジションでもそれは同じ。同じく同学年となるFW柿谷曜一朗の加入も刺激的だ。

「一緒にやってたのは10年以上も前ですけど、あまり変わってないなという印象です。ボールを持てば自分で打開できる力がありますし、逆に周りの選手の長所を生かしてあげられるようなプレーもできるので、そこはさすがだな、と。あと、あんなに守備をしてくれるんだなというのはちょっと驚きでした。僕が知らなかっただけですし、頭を使える選手なので、攻撃にしても守備にしても引っ張ってくれるのは頼もしいですね」

 守備もしてくれる、のくだりでは自分でつい笑ってしまったのだが、2007年のU-17ワールドカップでともに戦った盟友の加入がうれしそうだ。

 厳しいトレーニング真っ盛りの沖縄キャンプでは、大きな目標が3つ。まずは「今年もコロナでどういうスケジュールになるかはっきり分からない部分もありますが、個人的には1年間、戦える体を作ることです」と体を鍛え抜くこと。

 続いては個人戦術の練度を上げること。

「これから練習試合も入っていく中で、去年の課題だった細かいパスミスやポジショニング、ゴールにつながるクロスやシュートをもっともっと突き詰めていくのが一番です」

 そして、チームとしての統一感。

「チームとしては、新戦力が入ってきて、誰が入っても同じ温度で、共通意識を持つことが一番大事なので、キャンプではそういうところを詰めていきたいですね」

 名古屋でのプレーは今年で3シーズン目。「戦術のところは再々々々々々確認ぐらいですけど、練習の雰囲気とかゲームの内容はすごく新鮮ですね」と笑わせたが、リラックスして笑顔で言葉を繰り出す様子は、キャンプが順調に進んでいることを物語っている。