井上潮音が巣立ちの春を迎えた。ヴィッセル神戸のオファーを受けて、アカデミーから育った東京ヴェルティから旅立った。1月25日に神戸の一員として、新しいプロ人生をスタートさせた中盤のコンダクターが語った意欲。

上写真=語り口はクールだが、プレーは熱い。井上潮音が中盤にエッセンスを加える(写真◎VISSEL KOBE)

「小さい頃からイニエスタ選手が好きで…」

「初めてのJ1ということで楽しみですし、自分の力がどこまで通用するのか、チームをどれだけ勝利に導くことができるのかは、自分自身で楽しみなところです」

 東京ヴェルディからヴィッセル神戸へ。小学5年生から13年間、身につけた緑のユニフォームを脱いで新しい場所を求めたのだから、覚悟も深い。

「自分の年齢を考えても、話をもらったときにはチャレンジするべきだと思いましたし、ワールドカップを経験したり各国を代表する選手のいるこのクラブでプレーすることで、成長につながると思ったのが大事な要素でした」

 23歳は年重ではないが、プロフットボーラーとしては若いとは言えない。しかも、イニエスタのいるクラブだ。勝負するタイミングだと決断した。

「小さい頃からイニエスタ選手が好きで、多くの動画を見て学ばせてもらっていました。同じチームにいることで、たくさんのものを吸収できたら僕自身の成長につながると思っています」

 練習初日はまだあいさつをかわしたぐらいだというが、「これからいろいろ聞きたいと思います。聞きたいことはいっぱいありますから。プレーのことでもサッカー以外のことでも」と目を輝かせた。

「小さい頃からずっと中盤をやっていたので、神戸では中盤の3枚ならどこでもやれるかなというイメージです。ボールに関わりながら流れを引き寄せたり、ボールコントロールには自信を持っています」

 その言葉通り、東京Vのコンダクターとして、昨季はJ2で38試合出場4得点の記録を残している。本人の言うようにミッドフィールドが主戦場だが、ときにはウイングの位置に立って絶妙なラストパスを送ったりフィニッシュワークにも絡んで攻撃を支えたから、特に攻撃面で新しい風を神戸に吹かせることができるだろう。

 目標については「あんまり考えていなかったですね」と笑うが、「チームのJ1優勝、多くのタイトル獲得に少しでも貢献すること。全試合に出場したいと思っていますし、出た試合の中でより多くの数字を残せればと思っています」と掲げた。

 そのサッカーセンスは東京Vの攻撃サッカーの中で実証済み。いまからイニエスタとのコンビが楽しみだ。