1月17日、大分トリニータは新体制発表会見を行い、片野坂知宏監督は今季のノルマを「一ケタ順位」と設定した。主力の流出で求められる変化をむしろ歓迎して、意気揚々と挑む自身6季目は「柔軟性」がキーワード。

上写真=片野坂知宏監督は「一ケタ順位」を目標にした(写真◎大分トリニータ)

「積み上げたものの集大成にしたい」

 どのクラブも変化とその質の高まりに、はやる期待が集まる時期だが、大分トリニータの場合はより振れ幅が大きくなるかもしれない。

 3バックのうち鈴木義宜と岩田智輝がそれぞれ清水エスパルス、横浜F・マリノスに、攻撃のキーマンの1人だった田中達也が浦和レッズに移籍するなど、主力がチームを去った。入れ替わるように12人がトリニータのエンブレムを付けて、新しい道を行くことになった。

 片野坂知宏監督はだからこそ、変化を恐れない。

「12人が変わるので、やるべきことを明確にすること、ゲームモデルを浸透させること、スピードと質を上げていくことを求めてチャレンジさせていきます。新しい選手が入って組み合わせやバリエーション、オプション増やせればと思っていて、見極めてトライしていきたいと思います」

 幅を広げるという点では、フォーメーションについても柔軟な姿勢を明かした。

「3-4-3でやってきましたが、それだけにこだわらない戦いも大事になってきます。ケガ人が出たり状況が変わる可能性のあるシーズンですから、勝つためにどう戦うかを考えながらやっていきたい」

 鈴木と岩田を失ったことも一つの要因だが、その結果の補強で集まったメンバーの特徴をフル活用するためであれば、選択肢を限る必要もないということだ。

「新加入選手のポジションのバランスを見れば分かると思いますが、前線は長沢(駿)が入って、高さというこれまでとは違うバリエーションとして期待しています。シャドーでは渡邉(新太)と藤本(一輝)も補強できました。ワイドも黒崎(隼人)、福森(健太)と、戦える、ハードワークできる選手が来て、ボランチでは下田(北斗)の左利きのフィードとセットプレーのキッカーとしての精度に期待できます。後ろも鈴木と岩田のところは補強して坂(圭祐)と上夷(克典)を入れることができました。キーパーはムン(キョンゴン)が韓国に帰ることになったので、ポープ(ウィリアム)にまた入ってもらったし、若い西川(幸之介)は将来性があります。まんべんなくバランスを見て、ほぼどのポジションも、ということでクラブと話してきました」

 変化の象徴が長沢だろう。

「攻撃のバリエーションで前線の高さはこれまでなかったところです。長沢が入って高さを生かせるので、状況により、相手により、バリエーションが増やせることになります。クロスからの得点も得意としているので、生かせるように戦術を合わせていきたいです」

 3バックも同様だ。これまでとまったく同じものを要求するわけではない。

「まず、坂と上夷のスタイルもありますし、トリニータの戦術を理解してもらって戦術を落とし込むことが大事ですが、具体的にどういうプレーをしてほしいかを明確にしながらチャレンジしてもらって、彼らの良さもあるので、これまでと違う部分でよりレベルを上げられる可能性があると期待しています」

 そうした変化は、困難な社会情勢に対応する柔軟性を身につけるためでもある。変化に強いチーム力があれば、目標に掲げた一ケタ順位をクリアするベースになるはずだ。

「今年は20チームで戦い、自動降格が4チームと厳しいリーグ戦になります。今後もコロナの状況でどういう風になるか分からないですし、スケジュールを含めて柔軟に対応しないといけません。20チームリーグで初めての経験も多いし、オリンピックが延期されたことでのリーグの中断もあるので、どうチームが戦っていくか予想しづらいところがあります」

 片野坂監督は大分の監督として6度目のシーズンを迎える。クラブ史上、最長だ。J3から順にステップアップしてきて、2021年を勝負の年と位置付ける。

「J1に戻ってきて3年目、私も6年目の指揮となりますから、これまで積み上げたものの集大成にしたいです。今年のリーグを戦い抜くことができれば、J1でのトリニータの位置を高いレベルに上げられるのではないかと思っています」

 変化を喜んで迎え入れるような戦いを。片野坂フットボールの次のステップが楽しみだ。