上写真＝12月27日、今季限りで引退する曽ヶ端準が引退会見を実施した（写真◎KASHIMA ANTLERS）
引退後は鹿島でGKのアシスタントコーチに
「話をチームにさせてもらってから、気持ちは徐々にスッキリする方に向かいつつあるという感じです。100パーセント、スッキリしているかと言ったらそうではないですけども、充実した選手生活だったと思いますし、やってきたことにすごく誇りを持っています」
会見の冒頭、現在の心境を問われて、曽ヶ端は率直な思いを語った。「徐々に」と話したのは、長かった現役生活から次のステージに向かう段階にあるからだろう。
「いろいろな話の中で、このあと（クラブから発表が）あるかと思うんですけど、チームからアシスタントのGKコーチの話をいただきまして、それと他のチームでやるという選択をした中で、どちらが、というところでした。他のチームでやるというところに自分自身の気持ちの部分で乗ってくるものがなかったというのが正直なところです。やっぱり選手として鹿島でこれだけ長くやって、鹿島で終われる幸せをすごく感じていますし、この先も鹿島でチームのために働けるという話をいただきまして、チャレンジしたいと思いました」
現役続行か、鹿島で現役を終えてコーチとなるか。そして曽ヶ端は鹿島でコーチになる道を選んだ。
「ここ数年、出番も少なくなっていましたし、今年、公式戦2試合だけというところもありました。コロナの影響でお客さんが入った中でプレーする機会もほとんどなく、僕自身もカシマスタジアムでもっとプレーしたいという部分では葛藤がありました」
それでも他クラブで働くことは考えられなかった。GKのアシスタントコーチとしてこれからも鹿島の勝利に貢献していくことを選んだ。
「チームの勝利のために、キーパーコーチという形でありますけども、貢献できるようにやっていきたいと思いますし、選手一人ひとりが成長する手助けができればなと思います」
今年、鹿島では若きGK沖悠哉や山田大樹が出場機会を得た。これからの鹿島を支えていく後輩GKへの思いも語った。
「沖は、またシーズンが変われば、今年レギュラーを取って迎える新たなシーズンという難しさもあると思いますし、（クォン・）スンテに関してもレギュラーを奪われて、ここからまたレギュラーを取り返すという気持ちが成長させてくれると思います。山田も1年目ですけど、少ないながらもチャンスをもらって、その中でいいプレーだったり、勝利を取れなかったりという中で、来シーズンに向けてチャンスをものにできるようにやっていってほしい。このまま引き下がるような選手ではないと思います。大学からは早川（友基）選手も入ってきて、プロ1年目で難しさはあると思いますが、みんなで刺激し合って、みんなでキーパーのチームとして良い結果を残せるように戦っていければなと思います」
跡を継ぐ者たちのたのもしさに期待を寄せた。そしてともに歩んできたサポーターに向けて、次のようなメッセージを送っている。
「僕自身、カシマスタジアムに立つために、アントラーズの勝利のために、アントラーズが優勝するために、日々、全力を出してやってきたつもりです。その中でミスをしたり、勝利を届けられなかったりで、サポーターの方には残念な思いをさせたこともあったと思いますが、一緒に戦えた23年間は、僕自身すごく思い出深いものになりました。今度は違う形ですけど、アントラーズの一員としてみんなと戦えればと思います」
地元・鹿嶋で生まれ育ち、鹿島でプロになり、鹿島のゴールを守ってきた曽ヶ端準。これからは鹿島の未来をその手でつくっていく。