J1の清水エスパルスは23日、J2アルビレックス新潟に期限付き移籍していたFW鄭大世と来季の契約を締結せず、今季をもって契約満了とすることを決定したと発表した。

上写真=2015年から清水に在籍したFW鄭大世(写真◎J.LEAGUE)

「感謝しかないです」

 愛知県出身で現在36歳の鄭大世は、2006年に朝鮮大から川崎フロンターレに加入。北朝鮮代表として2010年の南アフリカW杯に出場し、ボーフム(ドイツ)、ケルン(ドイツ)、水原三星(韓国)でのプレーを経て、2015年7月に清水に加わった。加入1年目に清水はJ2に降格してしまうが、翌年はJ2で26ゴールを奪って得点王を獲得。1年でのJ1復帰に大きく貢献した。近年は出場機会が減少し、今年8月にJ2の新潟へ期限付き移籍したが、新潟では26試合に出場して9ゴールを挙げるなど健在ぶりを発揮していた。

 鄭大世はクラブを通じ、次のようにコメントした

「来年は日本平の桜の下で家族写真が撮ることができなくなりました。清水で5年。子供がずり這いから、クロールや側転ができるほど成長しました。毎日元気にトランポリンで飛びまくってます。昨日お風呂で成長した体をみて、満了という事実を胸に抱きながら、感慨深く二人を強く抱きしめました。妻もキムチを本当に頑張ってくれました。時が経つにつれどんどん愛が深まってます。それと同じように清水という街とクラブを家族のように愛してます。

 現役15年で初めての契約満了です。ドイツ時代、内田、香川、安田と、いずれ俺らにもその時がくると話してました。でもこれほど清々しいのは、豊かな現役生活を過ごしてきたからだと思います。清水では特に多くを手にしましたが、それでもまだこれだけ強く苦しさを感じるのは欲深さゆえであり、欲してる以上、飢え続けるということに気づいてから、新潟では欲せず、先も過去も考えず、周りの判断に反応せず、今何ができるかだけ考えてプレーしました。またこの戦ってる感覚を経験できて本当に幸せでした。

 清水では5年間最高のサポーターの前でその経験と多くのゴールを決めれたし、昇格の感動は体に刻みこまれてます。 調子に乗ってて人間関係で揉めることもありましたが、最後は愛するチームメイトと最高の関係を築けました。ずっとここで家族と暮らしたかったですが、ここでの功績を胸に堂々と清水の地を家族と手を繋ぎながら笑顔で後にしたいと思います。

 ニュースで満了の選手の”感謝しかないです”というコメントを読み、心の中では不満で怒り狂ってるんだろうと思ってましたが、僕の心からも素直にその言葉が浮かび上がってきます。みんなこういう気持ちだったんですね。感謝しかないです。ありがとうございました」