12月19日にニッパツ三ツ沢球技場で行なわれたJ1リーグ最終節で、横浜FCのカズが試合終盤に途中出場。自身の持つJ1最年長出場記録を53歳9カ月23日に更新した日本のレジェンドは、試合後のオンライン会見で来季も現役を続ける意向を示した。

上写真=横浜FMとのダービーマッチに出場したカズ(写真◎J.LEAGUE)

■2020年12月19日 J1リーグ第34節(@ニッパツ:観衆6,766人)
横浜FC 3-1 横浜FM
得点:(横浜FC)志知孝明、田代真一、瀬沼優司
   (横浜FM)オナイウ阿道

「Jリーグの組織、サポーターを誇りに思う」

 今季のホーム最終戦となった横浜ダービーで、53歳のカズは試合終了間際の90分から出場。アディショナルタイムを含めて約5分間、懸命にボールを追い回し、3-1での勝利に貢献した。

 試合後のオンライン会見では、コロナ禍で揺れた2020年を振り返った。Jリーグは2月下旬から約4カ月中断し、チームも感染拡大防止のため6月上旬まで活動自粛。カズは「コンディションを整えるのは大変だったし、動きたくても動けないという不安もあった」と自粛期間を振り返りつつ、「それでも7月に再開することができて、みんなが同じ試合数をこなした上で順位がきょう決まった。選手以上に周りの人たちは大変だったのではないか。その中で全試合を消化できたのは大きな力、自信になると思う」と語った。

「ブラジルやヨーロッパのサッカーを見ると、まだまだ無観客でやっているリーグがほとんどだけど、日本はこれだけのお客さんを集めて開催している。日本人の持つ強さ、秩序、規律。これに尽きると思う。そんな中で試合をやれたのは世界的に見ても幸せなこと。Jリーグの組織、サポーターを誇りに思う」

 カズ自身は8月5日のルヴァン杯サガン鳥栖戦で今季初出場を果たすと、9月23日の川崎フロンターレ戦でリーグ戦初先発。自身13年ぶりとなるJ1リーグのピッチに立った。その後も試合に出場するごとに最年長出場記録を塗り替え、この日の横浜FM戦で53歳9カ月23日まで更新した。だが「思い描いていたよりも試合に出場できず、自分自身に対して満足していない」と率直な思いを述べた。

「もっと試合に出場して、みんなが喜んでくれるような場面を一つでも多くつくりたかったというのが正直な気持ちですが、これがいまの僕の実力なのでしょうがない」

 3シーズン連続での無得点に悔しさをにじませる日本のレジェンドは「もっと試合に出たいと毎日思っている。これは努力しかない。どのくらいの伸びしろがあるのかは自分でも分からないけど、諦めずに、自分にしかできないことを続けてやっていきたい。挑戦させてもらえるなら、挑戦したい。毎日、精一杯やっていきたい」と現役続行への意欲を示し、スタジアムをあとにした。

取材◎多賀祐輔