上写真=タイトルへの意欲を隠さないネルシーニョ監督。その視線の先にルヴァンカップ優勝を見据える(写真◎Getty Images)
「2試合を活用させてもらう」
柏レイソルにとってJ1リーグはいよいよ、サンフレッチェ広島とのアウェーゲーム、川崎フロンターレとのホームゲームを残すのみとなった。
この2試合を「活用する」と話すのがネルシーニョ監督だ。2021年1月4日、ルヴァンカップ決勝を控える柏にとっては、日本一へ向けた準備としての重要な180分にしたいからだ。
「この2試合の相手、広島と川崎はレイソルにとって非常にコンペティティブ(競争力のある)な相手です。経験があってクオリティーがあるチームで、公式戦ということもあって実戦への準備ができるわけで、練習試合をするのとはわけが違います。この2試合で活用できるものは活用させてもらって、しっかり準備していきたい」
広島も川崎Fもしっかりとパスをつないでボールを運ぶスタイル。決勝の相手のFC東京は激しい守備から素早く前線に展開することを得意とするから、ゲームの作り方は異なるが、それでも公式戦は選手たちが勝負勘を研ぎ澄ませるには最上の場だ。
12月19日に川崎F戦を終えると、決勝までおよそ2週間ある。この時間を有効に使えるかが大きなカギを握りそうだ。
「練習試合を入れるのはコロナの最中、感染リスクを伴うので予定していません。この2試合で我々がどこまで詳細を詰めていけるのか、選手のゲーム感覚をしっかり維持するところがすべてだと思っています」
今年は超連戦のために試合と試合の間はコンディション調整に重きを置いた。だからこの2週間を「習得」に当てたいとネルシーニョ監督は考えている。
「これだけ試合がタイトに入っているので、トレーニングといっても習得できていない技術や戦術があります。より細かい部分、詳細の確認、習得の意味のトレーニングを積んでいければと思っています」
2週間できっちり積み上げることで、ゲーム感覚を維持することにもつながっていく。
「どのタイトルにも違う価値がありますが、このルヴァンカップは、選手の今後のキャリアにおいて勲章にもなるし、若手にはタイトルをかけた戦いのいい経験になります」
その意味では、ネルシーニョ監督にとっても大きな勲章になるだろう。70歳になってから初めてのタイトルになるのだ。これまで数々のタイトルを獲得してきた勝負師は、いまだ栄光への意欲が衰えることはない。
「東京も経験が豊富でクオリティーが高く、洗練されたチームです。しかし私たちもこのタイトル獲得に向けて、自信を持ちながらいい準備ができていると思っています」
「コロナに見舞われた1年を象徴する仕事の締めくくりとして、重要なタイトルです」と特別な意味を込めるのもよく分かる。選手に負傷者が相次ぎ、自身もコロナに感染した大変な1年だった。「チームとして見たときにポジティブな1年だった」とここまでを振り返るが、もっともっとポジティブになるためには、FC東京を倒せばいい。