FC東京が1-0で勝利を飾ったサンフレッチェ広島戦で、途中出場して流れを変えたのが紺野和也だった。今季加入の大卒ルーキーはなかなか出番がない中でもたゆまぬ努力で成長を続け、指揮官も期待する存在になりつつある。

上写真=58分に登場し、巧みなドリブルと鋭いアプローチでゲームを動かした紺野和也(写真◎J.LEAGUE)

守備意識とスキルの向上

 リーグ戦でプレーしたのは、8月26日の第26節の鹿島戦以来だった。58分からピッチに登場した紺野は粘り強いアプローチとドリブルワークで、ゲームの流れを引き寄せてみせた。

 ドリブルスキルは元より評価の高い選手であり、ボールを運ぶことに関してはチームでも屈指の存在だった。だが、この日、目を見張ったのは体をぶつけ、相手との間合いを詰めてボールを奪うスキルの向上だ。左ウイングとして登場し、たびたび広島の柏好文とマッチアップしたが、粘り強い守備で自由にさせなかった。ピンチとみるやプレスバックして相手の攻撃を遅らせ、ボールを奪ってたびたびFC東京の攻撃につなげた。

 良い守備は良い攻撃につながっていく。FC東京が勝利を収めた広島戦の決勝点は、紺野のパスが起点になった。その瞬間、右サイドに回っていた紺野は、浮き球パスを相手DFの背後のスペースへ送り、そこから内田宅哉、三田啓貴とつながって、中村帆高のシュートを生んだ。

 この日の紺野のプレーについては長谷川健太監督も「紺野も、今シーズン悔しい思いをしてきた一人だと思っています。(ピッチに送り出す)紺野にはいまの思いを全部ぶつけて来い、という話をしました。素晴らしいプレーをしてくれた。ピッチに入ってから流れがガラッと変わったと思います。非常にいいプレーをしてくれました」と評価した。

 カタールで開催されたACLにも紺野は帯同した。しかし出番はグループステージ第6節のパースグローリー戦の6分間とラウンド16、北京国安戦の11分間のみだった。当然、本人に悔しい思いはあっただろう。長谷川監督が「思いをぶつけて来い」と送り出したのも、そのためだ。

「紺野は日ごろのトレーニングで腐らずにコツコツやってくれていて、少しずつ守備の部分だったりとか、守備戦術を体で覚えてきました。なのでACLにも期待をして(カタールに)連れて行った一人でした。決して長い時間は使えなかったですけど、彼なりに色んな思いをもって、きょうのゲームに臨み、ぶつけてくれたと思っています。今後、紺野のプレーも楽しみしていきたいなと思います」

 監督は今後への期待をはっきりと口にした。今季、FC東京に入った安部柊斗、中村帆高の大卒組3人の中では、最も出場時間が短く、先発した試合はない。ただ、黙々とレベルアップに努め、ピッチで輝きを放つ準備を整えてきた。広島戦では、その努力の一端を示した。

 残り試合も、来季以降も。紺野和也、注目である。