ヴィッセル神戸は13日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の準決勝、蔚山現代(韓国)戦に臨んだ。左サイドバックとして2試合続けて延長120分を戦うことになったDF酒井高徳が壮絶な試合を振り返った。

上写真=2試合続けて延長120分を戦い抜いた酒井高徳(写真◎Getty Images)

■2020年12月13日 ACL準決勝
(@カタール・アルジャノブスタジアム)
蔚山現代 2-1 神戸
得点:(蔚)ビヨルン・ヨハンセン、ジュニオール・ネグラン
   (神)山口蛍

自分たちができることはやった

 左サイドバックとして、そして修羅場をくぐり抜けてきた経験者として若いチームを引っ張った酒井高徳は、最後の最後で逆転負けを喫した準決勝をこう振り返った。

「2試合続けて苦しい試合になりましたが、勝ちきれなかったことが非常に悔しい。ただ、すべてを通して言えるのは、自分たちのできることはやったということです。個人個人、見ている人が、どう思うかはあると思いますが、チームとしてまとまってすべてを出しきって日本に帰ることことができるので、胸を張って帰りたいと思います。もちろん、自分たちは応援してもらっている中で結果を残したかったので、それに応えられなかったのが非常に残念ですが」

 準々決勝の水原三星戦に続き、試合は90分で決着がつかず延長戦に突入した。疲労がないわけではないが、酒井は守備から攻撃に切り替われば、しっかり走って攻めに厚みをもたらし、攻撃から守備に局面が変われば、全力で帰陣してゴールを守るためにプレーした。神戸の選手たちは誰もが限界を突破し、全身全霊で戦った。その中で酒井は何度もチームメイトに声をかけ、プレーで仲間を鼓舞し続けた。

 延長に入ってからは互いにチャンスをつかみ、ピンチも迎える展開となった。そして、まもなく120分という試合終了間際、神戸は自らピンチを招いてしまう。GKの前川黛也が相手FWをボックス内で倒してPKを献上。壮絶な試合の幕切れは、あまりにも残酷だった。

「Jリーグとはまた違った大会で、戦う相手や、戦い方も違いました。当然やるサッカーも変わりますが、チームが同じ方向を向いてやるときにどれだけのことがやれるか、一人ひとりが感じ取っていると思います。(J1の)リーグ戦では今年はまったくいい結果が出ませんでした。そこでどういうところを修正して、どういうところが足りないのか、この大会を通じて感じることができたと思う。それを持ち帰って、来シーズンの前にもう一試合あるので、しっかり生かしていきたいと思います」

 球際の激しさやノックアウトステージに入ってからの緊張感は、やはりJリーグの舞台とは異なるもの。VARによって自分たちのゴールが取り消され、相手のゴールが認められるという経験もまた、これまで味わったことがないものだった。

「(VARで)見られていることは仕方がないです。これまでは、それが分からなかったのが、サッカーの醍醐味でもありましたが、世界のルールが変わってきて、そのルールに則ってやっている中で、確かにあった事実を見ているのであれば、それは仕方がないと思います。相手に多くのチャンスがある中で助かった部分もありましたし、逆に自分たちが決めなければいけないシーンもありました。それも全部含めて、今日の結果だと思っています。勝てなかったことが非常に残念です」

 VARも含め、未体験の連続がチームを成長させるのは間違いないだろう。何ができて何ができないのか。身をもってそれらを知られたことが、チームの今後に必ずプラスになると、酒井は言った。

「ここまでサポートしてくれた現地の皆さんと、ホテルの関係者の皆さん、遠くから応援してくれた、ヴィッセル神戸のファンの皆さん、Jリーグ、日本中の皆さんに、感謝したいと思います。自分たちの力だけでは、絶対にここまで来ることができませんでした」

「この悔しさを忘れることは無いと思う。また早くこの舞台に戻ってきて、次はもっといい結果を出したいと思います。神戸に戻って、自分たちのやることをはっきりさせて、成長していきたいです」

 アジアの頂点へ続く道は険しい。だが、決して進めない道ではない。そのことをしっかり確認できた。チームにとって、そして酒井にとっても、初出場のACLで得たものは大きかった。