12月12日、明治安田生命J1リーグは第32節が開催され、清水エスパルスは鹿島アントラーズと敵地カシマスタジアムで対戦。2種登録の成岡輝瑠がJ1リーグ戦で初めて先発出場したが、ハーフタイムに途中交代。成岡自身もプレー内容に反省しきりだった。

J1初先発の成岡輝瑠(写真◎J.LEAGUE)

■2020年12月12日 J1リーグ第32節(@カシマ:観衆7,907人)
鹿島 2-0 清水
得点:(鹿)上田綺世2

18歳の才能。「あと2試合で勝ちを届けられれば」

 40番を背負う高校3年生の成岡輝瑠がJ1リーグ戦で初めて先発出場した。清水ユースに所属し、来季のトップチーム昇格が決定している18歳。今季は2種登録され、前節までリーグ戦8試合に途中出場していた。トップチームで先発するのは、8月のルヴァンカップ以来2度目。そのときも相手は鹿島だった。

「相手が誰かとか、そういうことは関係ない。試合前に平岡(宏章)監督からも、球際で負けないこととか、そういう『闘魂』、『闘う魂』という話をしていただいたので、そこは相手に臆することなく、どんどんチャレンジすることができたかなと思います」

 成岡がそう言葉にしたように、鹿島の三竿健斗や上田綺世といった日本代表にも名を連ねた選手にも真っ向からぶつかっていった。ただ、前半の立ち上がりに2失点するなど、序盤から苦しい戦いを強いられた。

「個人的にも、チーム的にも、ちょっと受け身になってしまった。相手のペースに合わせてしまったところもありました。2失点してからはもうやるしかない状況になって、個人としても、チームとしても、どんどん前へ出て行って、体を張って、球際で負けないことをよりいっそう意識して臨んでいました」

 2点のビハインドを負い、成岡も重心を前へと傾けた。だが、鹿島の守備網を破ることはできず、ハーフタイムに後藤優介と交代。チームは0-2のまま試合終了を迎えた。リーグワーストの今季19敗目を喫し、順位も17位から動けず。「こういう順位にいて、本当だったら降格しています」。新型コロナウイルス禍の特別なレギュレーションにより来季もJ1に生き残るが、成岡は現状に危機感を募らせる。

「じゃあ、そういうチームがどうしたらサポーターの皆さんに『良かった』と言ってもらえるかというと、1試合1試合に懸ける思いもそうですけれど、一つひとつのプレーに気持ちを込めて戦うこと。(残りの)あと2試合で勝ちを届けられれば、(今)できる中では一番良いことかなと思います」

 清水ユース時代から共に戦う平岡監督も「もっともっとやれる」と期待を寄せる才能は、2020年の最後を良い形で締めくくるべく前を向く。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE