明治安田生命J1リーグもいよいよ大詰め。暫定5位の鹿島アントラーズは、AFCチャンピオンズリーグ出場権をかけた3位争いに挑んでいる。5試合で4ゴールと絶好調の上田綺世は、残り2試合もいつも通りにゴールを目指す。

上写真=上田綺世が絶好調。コンディションもよく、残り2試合のゴールにも期待だ(写真◎Getty Images)

「体はキレているかなと思います」

 鹿島アントラーズは32試合を消化した時点で、勝ち点55の5位。残り2試合に勝って3位に滑り込み、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフ出場権を獲得するのが180分のミッションである。

 難易度は高い。3位の名古屋グランパス、4位のセレッソ大阪の結果次第では2試合に勝って勝ち点6を積み上げたところで届かなくなってしまう。それでも、上田綺世はいつも通りに戦うのみだ。

「他のチームがどういう結果になろうと、僕たちが勝たなければ順位は上がらないので、他力ではありますけれど、まずは自分たちの試合に集中して、あと2試合、まずは1試合目は清水戦ですけれど、勝っていくことが必要だと思いますし、それ以外は意識する必要はないんじゃないかなと思います」

 他のクラブの結果を祈っても仕方がない。目の前の試合に勝つだけ。その姿勢はこれまでと同じだし、これからも変わらない。

 だからこそ、フォーカスするのは清水エスパルス戦のみ。

「勝たなきゃ順位も上がらないですし、まずは目の前の清水戦で自分がどういうパフォーマンスでできるかというところを個人的には意識して準備していきたい。チームとしても今年1年やってきたことを出せるようにいま準備していますし、試合までにケガもなく、いいコンディションで試合を迎えられるようにしていきたいです」

 清水は平岡宏章コーチが監督に就任して以降は3勝2分け1敗。現在、ACLを戦うヴィッセル神戸や上位を争うC大阪に勝っているし、優勝を決めた川崎フロンターレにも引き分けている。侮れない。だからこそ、好調の上田に期待は集まる。ここ5試合で4ゴール。手応えは、と聞かれて、即答だ。

「もちろんありますし、自分的にも体はキレているかなと思います」

 それもそのはず。振り返ってみると、11月3日の横浜F・マリノス戦では土居聖真が送った背後からの浮き球のロングパスに走り込み、すっと止めてからたたき込む一連の美しい所作に惚れ惚れする一発を決めてみせた。これで0-2からの大逆転劇につながった。21日のベガルタ仙台戦では、カウンターで右からのエヴェラウドのセンタリングに右足で流し込む3点目を決めて、勝利を決定づけた。そして29日の浦和レッズ戦では、左からのエヴェラウドのセンタリングに飛び込むダイビングヘッドで先制すれば、フアン・アラーノからのパスを前向きで受けてそのままペナルティーエリア外からバチンとたたく、パンチの効いたミドルシュートで差を2点に広げた。

 マルチパターンのシュートセンスを強く印象づけるゴールばかりだ。

 清水戦でも、決めたい。

「普段通りでいいんじゃないかなと思います。絶対に勝たなきゃいけないというか、毎試合勝つつもりでやっていますし、次の試合が特別でもないので、ただ状況が特別でACLの出場権だったりとかというところが大詰めだというだけであって、リーグ戦の1試合であることには変わりはないので、これまでと同じ心境と同じ準備でいいんじゃないかなと思います」

 肩の力が抜けた背番号36は、相手にとっては怖い。清水戦もその次のC大阪戦も、平常心で臨むだけだ。