川崎フロンターレのDFイサカ・ゼインが8日、練習後にオンラインで取材に応じた。大卒ルーキーの活躍が顕著なチームにあって、イサカはまだ試合に絡めていないが、着実な成長を実感し、残り試合でプレーすることに意欲を燃やしている。

上写真=同期入団の三笘薫(右)とともに優勝を喜ぶイサカ・ゼイン(写真◎J.LEAGUE)

 今季のフロンターレは三笘薫、旗手怜央ら大卒ルーキーの活躍が目立った。両者ともにコンスタントにピッチに立ち、リーグの優勝に貢献した。二人と同様に今季、チームに加わった大卒ルーキーが、イサカ・ゼインだ。

 たぐい稀なるスピードが持ち味のサイドプレーヤー。桐蔭横浜大学(神奈川県)から今季加入し、チームではサイドバックとして期待されている。仲間の活躍に刺激を受けながら、地道に、そして着実に歩を進めてきた。

「去年の特別指定で練習に来ていた時から思っていたんですけど、周りのレベルはこれだけの成績を残すレベルだと思いますし、そこに最初は慣れるのに必死でした。でも今は、自分の良さを出し、アピールする段階に変わってきているので、少しずつですけど、前に進めているんじゃないかなと信じて、やっています」

 慣れる段階を過ぎて、今は持ち味を出す段階に至った。自身も成長を実感している。

「モチベーションを保つというより、保ち続けないといけないと思っていますし、常に挑戦だと思っています。監督との話の中では、自分のストロングの出し方だったり、サイドバックの駆け引きとか、ボールを持ったときと持っていないとき、どうプレーしていくべきかというのは、守両面でアドバイスをもらっています。そこは吸収して、練習でしっかり出せるようにという意識で常にやっています」

 歩幅は決して大きくないかもしれないが、しっかり前に進んできた。その成長は、練習からも感じられる。

「ガンバ大阪戦はピッチの横で優勝する瞬間を見ていました。ファンのみなさんとも交流するじゃないですけど、喜び分かちあえましたけど、僕自身の力というか、貢献できてはいないので、この景色を見せてくれたということに感謝しつつも、やっぱり悔しさが一番ありました」

 やはり試合に出てこそ、プロサッカー選手だ。その自覚を持つがゆえに、イサカは優勝をただただ喜んではいない。歓喜に酔う仲間の姿とファン・サポーターの笑顔を見て、次こそは自分もプレーして、との思いを強くした。

 前節は登里享平が負傷交代し、車屋紳太郎も現在、負傷で離脱中。左サイドバックは本職不在の手薄な状態と言える。両サイドでプレーでき、左サイドバックとして研さんを積んできたイサカにとってはメンバー入りのチャンスだろう。

「公式戦に1分でも1試合でも出場したいという気持ちがあります。そのためにはまずメンバーに入らないといけない。自分がメンバーに入っても大丈夫だなと監督に思わせるプレーをしなくてはいけないし、残り試合数は限られていますけど、チャンスはあると思っています。そこに絶対に入っていく。(中村)憲剛さんともプレーしたいという思いがあるので。向かっていくだけだと思っています」

 リーグ戦は残り3試合。天皇杯は最大2試合。シーズンの最後までにピッチに立つべく、イサカ・ゼインは今日も練習にひたむきに取り組んでいた。その全力が、未来につながると信じて。