横浜F・マリノスが悲しい結末を迎えることになってしまった。ラウンド16で韓国の水原三星と対戦し、先制しながらも逆転負け。攻撃を引っ張った仲川輝人はアシストの他にもチャンスを作り出したが、一歩及ばなかった。

上写真=右サイドを何度も駆け抜けた仲川輝人。アシストは最高だったが…(写真◎Getty Images)

■2020年12月7日 ACL決勝トーナメント1回戦
(リモートマッチ/@カタール・ハリファ インターナショナル スタジアム)
横浜FM 2-3 水原
得点:(横)エリキ、オナイウ阿道
   (水)キム・テファン、キム・ミヌ、ハン・ソクジョン

「この大会にまた出られるように」

「自分たちの力のなさだと思いますし、前半に2点、3点決めていれば勝負はついたと思います。そういったところの甘さが出てしまったのかなと思います」

 試合直後に仲川輝人はうなだれて、そう絞り出した。

 横浜F・マリノスは20分にエリキが先制しながら、3連続でゴールを決められて、最後の最後にオナイウ阿道が1点を返すものの、2-3の逆転負け。ミスで絶好機を逃し、ミスからゴールを許した悲しい結末になった。

 スタートは好調だった。わずか3分にビッグチャンス。マルコス・ジュニオールのパスで高野遼が左サイドを抜け出してセンタリング、ニアでエリキが触って流れ、ファーに走り込んでいた仲川が押し込もうとするが、わずかに右に切れていった。

 この惜しいチャンスを取り返すかのように攻めたのが20分のこと。相手のサイドチェンジのミスを拾った松原健が素早く喜田拓也につけると、喜田は仲川が右に走った先にピタリと合う最高のパスを送り込んだ。仲川はこれをワンタッチで中に送ると、猛ダッシュで裏に潜り込んだエリキが右膝あたりで押し込んであっという間に先制ゴールを挙げた。最高の判断と技術で素早く攻めた、横浜FMらしい爽快なゴールだった。

 ところが、ここからおかしくなる。グラウンド状態が悪く、パスがはね、なぜかボールが足につかない。仲川もその一人だった。5バックで構え、球際で足を狙いに来る激しい相手の守備に悩まされてリズムをつかめなかった。

「前半はいいスタートが切れましたが、決めるべきところで決めていかないと難しい状況になってしまいます」とアンジェ・ポステコグルー監督が嘆いたように、33分には仲川がロングカウンターからドリブルで右サイドを抜けてセンタリングを送ったが、マルコス・ジュニオールががら空きのゴールに蹴り込めず、40分にもエリキが独走しながらシュートは左へ。これが響いた。

 57分に同点とされたが、仲川が攻撃の意欲を失うはずもなく、75分にはマルコス・ジュニオールがくれたパスで右サイドを抜けて強烈なシュート、しかしGKにはじき出されてしまった。

「グループステージはグループステージでいい結果を残しましたけど、一発勝負のノックアウトステージだと一つのミスで失点になったりした甘さを自分たちの課題だと思って、この大会にまた出られるように一丸となって頑張っていきたいと思います」

 仲川はこんな風に大会を振り返るしかなかった。自慢の攻撃サッカーで優勝を現実的な目標にして心を一つにして戦ってきたが、実らない悔しさが残った。