横浜F・マリノスのGKオビ・パウエル・オビンナがラウンド16の水原三星(韓国)戦を前に、オンラインで取材に応じた。好セーブでチームを何度も救い、グループステージ(GS)突破に貢献した守護神が、決意を語った。

上写真=ラウンド16の水原戦を前に現地カタールで取材に応じるオビ・パウエル・オビンナ(写真◎Y.F.M.)

栃木にいたときも心の準備はできていた

 レンタル移籍先のJ2栃木SCで最後にプレーしたのが10月25日の愛媛戦。1-0の完封勝利に貢献したが、その1カ月後の11月25日、オビ・パウエル・オビンナは横浜F・マリノスの守護神としてACLの再開初戦を戦っていた。J2の舞台からアジアナンバーワンチームの座を争う舞台へ。はた目には環境が大きく異なるようにも思えるが、本人の中では、それらはしっかりとつながっていた。

「(横浜FMで先発することは)簡単ではないと思っていましたし、確実に栃木に行く前にこの状況になったら自分の中で緊張や焦りもあったかもしれない。ただ、こういうふうになるために栃木に行ったというのもあります。向こうでプレーしているときも常にJ1だったりACLで自分がどう戦うのかというのを考えながらやっていたので、心の準備はしていましたね」

 上海上港との激闘を1-0で制したその試合では、ビッグプレーでチームを救った。81分、元ブラジル代表のオスカルのPKをストップしたのだ。

「まず初戦が一番難しい試合になるとは思っていて、なかなか点を入らず、試合展開的にも難しかったですけど、それでああいう形でピンチになるというのは、試合前から準備していました。Jリーグとは違う判定だったり、相手がすぐに倒れるとかもあったので。とくに焦らなかったのも止められた要因の一つなのかなと思います」
 あのプレーがなければ勝利を呼び込むことはできなかっただろう。その10分後、90分に天野純の決勝点が生まれた。大きな勝利だったのは間違いない。ただ、自己評価は厳しい。次の試合で敗れたからだ(GS4節/●1-2上海上港)。

「初戦に勝って、いい流れに乗りたかったんですけど、次は残念ながら負けてしまった。あの負けが決勝トーナメントだったら日本に帰らなければいけなかったわけで、1失点目も2失点目も止めたいシュートではありましたし。あの試合で、もう一度気が引き締まりました。一つ一つの試合、プレーから勝ちにいかないと、決勝トーナメントは勝てない」

 第5節の全北現代戦は4-1の快勝。チームは攻守ともに充実の内容を見せて、GS突破を決めた。オビはその重要な一戦でも先発フル出場して勝利に貢献した。GS第6節のシドニーFCは高丘陽平がゴールマウスを守り、ベンチ外で休養(△1-1)。コンディションを整え、明日7日、いよいよラウンド16の水原三星戦に臨む。

「先に点が取れればいいですが、取られる可能性もある。なるべくそうならないように守備陣はしっかり頑張りたい。優勝を狙いに行く上では、この先に色んな状況があると思う。そうなったときに慌てず、自分たちのサッカーに自信をもってやっていく。どんな状況でも勝ち進んでいけるように。マリノスのサッカーをして点を取って、守備は前からのプレスだったり、後ろのケアを安定させれば、勝利につながると思う」

 横浜F・マリノスの攻撃力には絶対の自信を持つ。つまり、自分が無失点に抑えれば、勝利を呼び込めるということだ。

 アジアの頂点へ続く道が、はっきりと見えている。だから前を向き、その道を進んでいくだけーー。発する言葉の一つ一つに、そんな強い思いがにじんでいた。