FC東京の長谷川健太監督が5日、ACLの決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)、北京国安戦を翌日に控えて公式会見に臨んだ。簡単な相手ではないとしながらも「すべてを出して」クラブにとって初の8強入りを実現したいと語った。

上写真=6日の北京国安戦に向けた公式会見に臨んだFC東京の長谷川健太監督(写真◎F.C.TOKYO)

ポイントは攻守の切り替えと先制点

 FC東京はタフなGグループステージをF組2位で突破し、明日6日、準々決勝進出をかけてE組1位の北京国安(中国)と対戦する。前日に設けられている公式会見に出席した長谷川監督は、力強く宣言した。

「(北京が)非常に力のあるチームなのは分かっています。持てる力をすべて出して勝ちたいと思います」

 特段、秘策など用意していない。これまで磨き上げてきた東京のサッカーで勝負するつもりだ。それこそが勝利への近道と信じている。ポイントは、切り替えの早さと先制点。

「北京は速攻のうまいチームだと思いますし、シュート力のあるタレントが前線にそろっている。簡単に仕事をさせないという部分と、(攻守の)切り替えの部分が重要になる。あとは先制点。それが非常に大きなウエートを占めると思っています」

 優位に試合を進めるためにも、先制点がほしい。長谷川監督とともに会見に臨んだFW永井謙佑も同様の意見を口にした。

「先制点がすごく大事なる試合なので、ゴールにこだわってチームの勝利に貢献できるように頑張りたい。前線から全力で、体力が持つ限り頑張りたいと思っています」

 ラウンド16を越えると、中3日ですぐに準々決勝があるが、先を見据えて力をセーブし、勝てる相手ではないだろう。すべてを注ぐ、覚悟がいる。過去に2度、ACL出場経験があるFC東京はいずれもラウンド16で敗退した。そのとき敗れたのが、どちらも中国のチーム。2012年は広州恒大、2016年は上海上港だった。会見でも、そのことについての質問が出た。「どうやって中国勢を倒すのか?」と。指揮官は答えた。

「中国のチームと言っても、それぞれ特徴があると思っています。言えるのは(北京は)非常に能力の高い外国籍選手と中国人選手をうまく融合させていて、組織化できているということです。ただ、われわれもカタールで集団生活をしながら、意思の疎通もチームワークも上がってきていますので、明日は皆さんが見ていて楽しめるゲームにしたいと思います」

 グループステージを無敗で勝ち上がってきた北京は、長谷川監督いわく「カタールに来て乗っているチームの一つ」。それでも、FC東京が普段通りの力を出せれば、十分に勝てると踏んでいる。前節、出場機会が少ないメンバーが試合に出てパースグローリーに下し、決勝トーナメント進出を成し遂げた。そのことでチームは、さらにまとまったという。雰囲気も状態も、良好。中2日で5試合目となるが、「Jリーグでも19連戦という連戦をみんなで戦ってきましたので、前回の試合でも言いましたが、総力戦で戦っていきたい」と指揮官は話し、総力戦の心構えで勝ちいくつもりだ。

 昨日にはアスリートトラックの適用が発表され、海外から帰国後の14日間の待機期間中に強化活動(練習や大会参加等)を行なうことが可能となった。ACLの決勝が行なわれる12月19日までカタールに滞在したとしても、来年1月4日のルヴァンカップ決勝へ、しっかり準備できる環境が整ったわけだ。それについて長谷川監督は「カタールで最後まで試合をして、と思っていますが、それにしても戻ってから2週間待機で、トレーニングできないということだったのが、トレーニングも試合もしてもいいよという形になったのはうれしく思います。スポーツを行なう関係者にとっては非常にありがたい処置をとっていただいて、非常にうれしい。できる限りいい成績を残して、日本に戻りたい」と話した。ファイナルまで勝ち上がることに、何の不安も迷いもなく注力できる。

 3チームが残った日本勢の先陣を切って、明日6日にFC東京がラウンド16に臨む。初の8強入りを果たし、歴史を塗り替えられることになるか。注目のゲームは、日本時間19時にキックオフされる。