4試合ぶりの先発起用にゴールで応えた。名古屋グランパスの相馬勇紀は、明治安田生命J1リーグ第31節の柏レイソル戦で決勝ゴール。好調のドリブルと得点感覚で緊迫感あふれる難しい90分をものにして、大きく胸を張った。

「自分の間合いで仕掛けられている」

 柏レイソルとのアウェーゲームは、どちらもAFCチャンピオンズリーグの出場権を狙うために負けられない一戦だったから、とにかくガチンコな90分。球際で一歩も引かず、さらには自らのゴールで1-0の勝利をもぎ取ったから、相馬勇紀は声も弾む。

「あと3試合だし、ACLのこともあって肉弾戦になることは分かっていました。全員が気持ちを込めてファイトしていたと思います」

 左から吉田豊が抜け出してセンタリング、ガブリエル・シャビエルがなんとか足を伸ばしてつないで、右サイドで受けたオ・ジェソクが稲垣祥に戻す。クロスが入ってくるのに合わせて、ボールの軌道を見極めて相馬が詰めていった。すると、相手のDFとGKの間にボールが入ってお見合いするような形になり、GKがキャッチしきれずにこぼれたところを、抜け目なく押し込んだ。

 これがこの日、唯一のゴールになった。7月4日の第2節清水エスパルス戦以来だから、実に5カ月ぶりだ。

「ゴールに関しては、いま身長の高い選手がいないけれど、センタリングはチャンスになるので入っていこうとしたことが得点につながりました」

 金崎夢生が負傷離脱、山崎凌吾もようやくベンチ入りするところまで戻ってきたが、前線のターゲットのいない戦いが続いている。阿部浩之とガブリエル・シャビエルの技術とセンスでかき回す戦いぶりも定着する中、相馬は4試合ぶりに先発して左のワイドから仕掛けた。「フレッシュでコンディションもメンタルもいい状態だったので、頭から行ってもらった」とマッシモ・フィッカデンティ監督は起用の理由を明かした。その好調ぶりが、あの瞬間にゴール前にいるという明晰な判断につながったのだろう。

 調子の良さはもちろん、本人が一番良く分かっている。

「今シーズン、対策されてくる中で、スタートのポジションやタイミングを研究した結果、形になっていると実感できています。相手の間合いに入らず自分の間合いで仕掛けられているし、仕掛ける回数も増えてきました」

 だからこそ、時間を有効に使った駆け引きの妙に、自己評価は高い。

「前半は中に行ったら、後半は縦が開きました。試合を通した駆け引きができたと思います」

「サッカーは相手を見てやるスポーツだと思います。前半に中へ仕掛けたら相手は中への意識が強くなったので、シーンによって使い分けるのが今日はうまくできました」

 そう胸を張った。

「やってきた結果は、準備がないと生まれないので、今日はとても良かったと思います。でも、まだ2試合残っていますし、サッカー人生は続いていくので、これが成長過程のステップになると思います。次も貪欲に戦いたいです」

 このドリブラーは乗せてしまうと手がつけられない。残り2試合はどちらもホームゲーム。2位という目標に向けて、絶好調で駆け抜ける。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE