上写真=キャプテンマークを巻いて戦った水沼宏太。實藤のゴールもアシストした(写真◎Y.F.M)
■2020年12月4日 ACL第6節
(リモートマッチ/@カタール・アルジャノブ スタジアム)
シドニーFC 1-1 横浜FM
得点:(シ)トレント・ブハジアー
(横)實藤友紀
「どんな試合になろうが結果を求めて」
水沼宏太はカタールに来てから、4試合すべてでプレーしている。それだけアンジェ・ポステコグルー監督からの信頼は厚いのだ。だからこの日はキャプテンマークを託された。
「キャプテンマークを巻いていてもいなくても、いつもとやること変わらないですけど、やっぱりチームの先頭に立ってやっていけるのはより気持ちも引き締まりました。その中で勝つことができればより良かったので残念でしたけど、役割を担ってできる喜びや幸せはありました。またモチベーション高くやっていければと思います」
父が日産自動車から横浜マリノスでプレーしたレジェンドで、後に監督も務めた水沼貴史さんで、自身はアカデミーで育った。プロになったのもこのクラブで、そこから栃木SC、サガン鳥栖、FC東京、セレッソ大阪と渡り歩きながら、今季、堂々と帰還してまたもトリコロールのユニフォームを身に着けて、このACLでキャプテンマークを巻いた。そんなキャリアをたどりながら考えてみると、「喜びや幸せ」の言葉がとても深い。
この日は前節から先発を11人全員入れ替えるという超ローテーションでキックオフしたが、水沼自身は出ずっぱり。だが、疲れも見せずに、右ウイングとして得意のクロスを中心に攻撃を繰り返していった。18分には右CKをファーサイドに送って、實藤友紀の先制ゴールをお膳立て。キャプテンとしてチームをリードしていった。
こちらは負けてもほぼ首位通過が決まるゲームで、相手は敗退が決まっていたから、いわゆる消化試合としてルーズな展開になってもおかしくなかった。しかし、「相手も僕たちもモチベーションが高く、拮抗した試合になりました」と手応えを感じていた。だからこそ、「勝てなかったのは悔しいし、勝って勢いを持って決勝トーナメントに臨みたかったので悔しいところ」と嘆くのだ。
ただ、キャプテンらしく明るい面にもきちんと目を向ける。
「セットプレーで取れていない中で取れたので、そこは成長できた部分だと思います。悪いところだけじゃなくていいところもたくさんあったので、前向きに次へ向けていい準備をしていきたいと思います」
クラブ史上初のラウンド16は、またも中2日のタフなスケジュールで迎えることになる。ここからは一発勝負。シビアな戦いが待っている。
「内容云々よりもとにかく結果なので、どんな試合になろうが結果を求めてやっていくことが大事です。ここまで来たらアジアチャンピオンが見えてくるので、日本から声援を送ってくれる後押しを受けて、しっかりピッチで表現できるように頑張りたいと思います」
さまざまなクラブでのプレーを経験して、結果が何よりも物を言う場所で鍛えられてきた。だから、マリノスらしいサッカーをした上で、結果から逃げない。ここからが水沼の、横浜FMの本当の勝負だ。