ベトナム1部のサイゴンFCへの完全移籍を発表した横浜FCのMF松井大輔が、12月4日にオンライン会見を実施。移籍の経緯やチームメイトの反応、5カ国目となる海外の新天地での決意などを語った。

上写真=笑顔も交えて移籍への思いを語った松井(写真◎スクリーンショット)

「僕自身が驚いている」

 2000年に鹿児島実高(鹿児島)から京都パープルサンガ(現京都サンガF.C.)に加入した松井大輔は、04年に当時フランス2部のルマンに移籍し、欧州各国のクラブを経て、14年からジュビロ磐田でプレー。海外クラブを挟んで18年に横浜FCに加入し、12月3日にベトナム1部のサイゴンFCへの完全移籍が発表されていた。
 
 クラブにオファーが届いたのは2~3週間前で、松井は「いまベトナムが、このコロナ禍でも経済的に発展していること、タイ、ベトナムなど東南アジアでサッカー人気が上がっていること。また(サイゴンFCの)オーナーがしっかりしていて、これからのビジョンを明確に伝えてくれた」ことが決断の決め手となったと話した。数十億円をかけてグラウンドを整備したり、別の日本人選手も獲得してクラブを経営していくなどのビジョンに共感したという。
 
 今季は明治安田生命J1リーグで3試合の出場にとどまっており、「サッカー選手は、試合に出場することが必要不可欠。今年はコロナの影響があり、ケガも何回もしたので、チームに貢献できなくて申し訳ない気持ちがあった」と吐露した。同時に「また挑戦する場をもらえたことに、すごく感謝している」と語り、「まさか、また海外に行けるとは考えていなかったので、僕自身が驚いている。必要とされるのは人間として、プレーヤーとしてうれしいこと」と移籍実現を喜んだ。

 FWカズとMF中村俊輔に移籍を報告した際の反応も明かした。「シュンさんには『マジで!?』と言われた」と笑った松井は、磐田と横浜FCに松井が先に加入し、中村が後を追うように加入してきた歴史を踏まえて「『最後も僕を追いかけて、ベトナムに来てくれるんですね』と言ったら、『ベトナムは行けない』と言っていた」と再び笑顔でコメント。一方で「カズさんは『俺も行きたいから、早く呼んでくれ』ということだった」と、やはり笑顔で語った。

 シーズン終了を待たずに完全移籍するのは、ベトナムの新シーズン開幕が1月中旬と迫っている中で、ベトナム行きの航空便がある日が限られていること、入国後に2週間の隔離が必要になることから「できれば早く行って、向こうでコンディションを整えていきたい。僕のわがままで、クラブにお願いした」と明かした。2週間の隔離期間中には、かつてフランスの植民地だったベトナムでのコミュニケーションのために、フランス語と英語をオンラインでもう一度、勉強する予定だという。

 フランス(ルマン、サンテティエンヌ、グルノーブル、ディジョン)、ロシア(トム・トムスク)、ブルガリア(スラビア・ソフィア)、ポーランド(レヒア・グダニスク、オドラオポーレ)に続き、5カ国目の海外クラブ。新天地の映像などは「まったく見ていない」と語るものの、海外でのプレーは「大変だと思ったことはない。ワクワク感しかない。何があって、観光もできて、とか、楽しいことしか思い浮かばない」と目を輝かせた。

 さらに「試合に出続けることが、すごく大事。この年齢になると、試合に出ていないと体も変わってきて、筋肉的にすごく難しくなってくる。向こうでコンスタントに試合に出ながら、自分らしいプレーを思い起こしたい」とコメント。来年5月に40歳を迎える状況での新しい挑戦に意気込んでいた。