FC東京のDF小川諒也がACLグループステージ最終節、パースグローリー戦を前に取材に応じた。ラウンド16進出がかかる一戦だが、「そこまで追い詰められていない」と冷静だ。4年前にも大会に参加している経験者としてチームを引っ張ると誓った。

上写真=16強進出がかかるパースグローリー戦に向けてトレーニングする小川諒也(写真◎F.C.TOKYO)

僕たちは十分、アジアで戦える

 カタール入り後、3試合すべてで先発。小川はACL独特の雰囲気の中でもしっかり自分を出している。次節、GS最終節の試合でラウンド16に進めるか否かが決まるが、特段、焦りもなければ、入れ込み過ぎるようなこともない。それは、アジアの舞台で自信を深めているからでもある。

「最後の試合に勝たなければ、次にはいけない状況で、中2日で3試合こなしているのでみんな疲労はあると思うんですけど、自分たちは十分にアジアで戦えると思っています。勝つ自信は、あります」

 狙うは勝利。勝って道をひらくだけ。テーマは、シンプルだ。

「守備の部分とか、1対1とか、フィジカルの部分はこの大会を通して手ごたえがありますし、そこでは負けていないという気持ちもある。あとはチームとしてもそうですけど、個人としても攻撃の手ごたえが欲しいところです」

「勝たなければいけない試合なので、ただ守っていればいいわけではない。そこはサイドバックなんで攻撃参加もしつつ、得点につながるようにしっかり貢献したいと思います」

 勝利のイメージは膨らんでいる。豊富な運動量を示し、ボールの争奪戦で一歩も引かない。長谷川健太監督は次戦に向けて、疲労も考慮してフレッシュな選手の起用を示唆しているため、先発から小川が使われるかどうかは分からないが、ACL経験者でディフェンスリーダーの森重真人が出場停止であることを考えると、同じくACL経験者の小川の重要性も増す。

「4年前のACLでデビューさせてもらって、非常に思い入れのある大会です。そのころは自分がまだ十代で、一番下の年齢というのもあってみんなについていくだけという感じだったんですが、今度は自分がこの大会においてもチームの中でも経験があるほうなので、チームを引っ張っていかないといけないと思います」

 大会再開初戦のように自滅するようなことなく、チームが普段の力を発揮できるようにしたいと語る。

「自分としてはメンタル的にもそんなに追い詰められているという感覚はなくて。とにかく、勝つことだけをイメージしています。そういう意味では落ち着ています」

 ビルドアップの際にはボールの預けどころになり、タイミングの良い攻め上がりで攻撃に厚みを加え、そして守備ではサイドにフタし、時には中に絞って失点を防ぐ。パースグローリーはソリッドな4-4-2で守ってくるチームだが、攻撃面ではサイド攻撃が一つのポイントになるはずだ。小川の働きが重要になる。むろん、チームに落ち着きを与える経験者としての振る舞いも期待される。

「パースと上海申花の試合は自分たちの試合(蔚山戦)のあとにやっていましたが、ちょうどホテルに戻って、夕飯をとっているときが試合の終盤でした。3-3で終わったときはみんな盛り上がっていたし、拍手も起きていた。それで最後につながったので、本当にパースのおかげなんですけど、最終戦に向けて、メンタルが上がっていると感じます」

 広がった突破の可能性を生かせるかどうかは、自分たち次第。小川は静かに闘志を燃やしている。