すでにACLのラウンド16進出を決めているヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタが現地カタールからオンライン取材に応じた。現在のチーム状態は上向きで、自身のコンディションも良好。高みを目指す準備は整っていると話した。

上写真=ACLを戦う現地カタールで取材に応じたイニエスタ(写真◎VISSEL KOBE)

再開初戦の勝利で雰囲気は変わった

 イニエスタはグループステージ第3節の広州恒大戦で89分間プレーし、1ゴール1アシストの活躍を披露。チームを3-1の勝利に導くとともに、チームのラウンド16進出に大きく貢献した。続く第4節の広州恒大戦は若手主体のメンバーで臨むこととなり、ベンチスタートだったが、60分からピッチに登場すると、たちまちゲームを活性化。2点差を逆転することはできなかったが、次々にチャンスを生み出すプレーで、あらためてその存在の大きさを示した。

 プレーぶりからはコンディションの良さも伝わってくる。カタール入りする直前、Jリーグでは5連敗を喫するなど、チーム状態はよくなかった。しかし、新たな大会に臨むということでうまくリフレッシュし、大会に入ることができたと話す。

「チームとしてはとくに最後の数週間というのは、ACLが頭にあって、やはりリーグでは上位に食い込むことが難しいの中でモチベーションを保つのが難しいところはあったと思います。全員の頭の中にACLへの準備というものもあったかもしれません」

「何よりも最初の重要な勝利をつかめたことは重要でした。チームに落ち着きをもたらしたからです。チームの雰囲気も変わったと思います。ACLという新たなコンペティション(大会)であり、明確な目標が目の前にあることも大きいかもしれません。Jリーグの最後の方では上位に食い込むのが難しい状況にあったので、無意識にですが、どうしてもそれが影響してしまうことはあったと思いますが、今はリフレッシュしたメンタリティーで戦えている。このままキープできていければと思っています」

 チームとしてACLで見違えるような戦いぶりを見せられたのは、やはりメンタル面が大きかったようだ。新たな心構えで戦いに臨んでいるチームが、ACLでさらに高みを目指すために重要になるのはどんな点なのか。これまで数々の大会で優勝を経験してきたイニエスタは言う。

「一つ自分の中ではっきりしていることは100パーセントでやらないとやれるということです。それは相手が中国のチームだろうと、韓国のチームだろうと、タイのチームだろうと関係なく、100パーセントで臨まないと簡単に勝てる試合はありません。ですから自分たちは100パーセントを出さないといけない。世界のサッカーのレベルの差というのはどんどん縮まってきていると思いますし、アジアのサッカーのレベルはどんどん上がってきていると思います。これまでもJリーグレベルの高さや拮抗した競争力については話をしてきましたが、Jリーグがアジアの中でレベルが高いのか低いのかという話ではなくて、自分たちとしては常にベストを尽くして、どこのチームと対戦するときも、100パーセントで戦う意識を持ち続けなければいけない」

 高みを知るからこそ、手を抜くことはない。手を抜かないからこそ、高みに至ることができる。グループステージ最終節となる4日の水原三星戦を終えて、ラウンド16以降は勝ち進めば準決勝まで中2日で連戦が続くことになるが、イニエスタは意欲を示した。

「(常に)プレーしたいという気持ちはあります。スケジュールがきついのは間違いないですが、私個人のコンディションはすごく良くて、可能な限り試合に出たいと思います。そのための準備もしています。今シーズンはもちろん、Jリーグではチームレベルではいい結果を残せませんでしたが、個人のコンディションという部分ではすごいいい感覚でシーズンを過ごしています」

 神戸のキャプテンはアジア制覇へ向けて、準備を整えている。