ヴィッセル神戸がAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の広州恒大戦に臨んだ。前節では勝利を飾り、すでに16強入りを決めていることから、この日は先発11人を入れ替えた。だが、結果は0-2。後半は選手を交代させて攻勢に出たが及ばなかった。

上写真=パク・ジスを振り切ってシュートに持ち込んだ小田裕太郎(写真◎VISSEL KOBE)

■2020年11月28日 ACL第4節
(リモートマッチ/@カタール・ハリファインターナショナル・スタジアム)
神戸 0-2 広州恒大
得点:(広)タリスカ、エウケソン

・神戸メンバー:GK飯倉大樹、DF藤谷壮、大﨑玲央、渡部博文、初瀬亮、MF中坂勇哉(46分:山口蛍)、安井拓也(85分:藤本憲明)、FW佐々木大樹(60分:アンドレス・イニエスタ)、小田裕太郎、田中順也(60分:ドウグラス)、小川慶治朗(60分:古橋亨梧)

・広州恒大メンバー:GKリウ・ディエンズオ、DFメイ・ファン、パク・ジス、リウ・イーミン(75分:タィアス・ブラウニング)、MFジャン・シウェイ、フー・チャオ(75分:フアン・ボーウェン)、リカルド・グラル(75分:ウェイ・シーハオ)、FWヤン・リーユー(61分:ワン・シーロン)、ジョン・ジーチャオ、アンデルソン・タリスカ(61分:アロイジオ)、エウケソン

見据えるのはラウンド16の戦い

 前節、広州恒大を破りラウンド16進出を決めた神戸は先発11人を入れ替えて、広州との2度目の対戦に臨んだ。前日の公式会見では「トレーニングの状況を見てメンバーを決める」と三浦淳寛監督は話していたが、中2日で臨む試合。当然ながらイニエスタら前節に出場した選手たちを休ませる狙いもあった。

 とはいえ、ただ単にセカンドチームをピッチに送ったわけではない。指揮官は戦力の拡充を図っており、ACLは「チーム全員で戦う」と繰り返してきた。とくに若い選手たちに真剣勝負の場を体験させ、その中で伸びてほしいとの考えを持っている。小田や佐々木、中坂、安井、藤谷ら若手に期待してピッチに送っていた。

 ただ、相手はさすがはACLの常連チームの広州恒大だった。戦いのツボを心得ていた。競り合いの中で渡部がタリスカを倒してPKを献上。微妙な判定にも思われたが、相手の体の使い方もうまかった。これをきっちり決められて、開始17分という早い段階で先制を許してしまう。その後も散発的に攻めたが、36分にはエウケソンに直接FKを決められた。前半で0-2。やはり経験の差は否めず、若い選手たちは違いを実感させれることになった。

 神戸は状況を変えるべく、後半開始から中坂に代えて山口を投入。さらに60分には古橋、ドウグラス、イニエスタと、前節得点を挙げた3人を同時にピッチに送って巻き返しを図った。たちまちボールを握り、主導権も手にしてその後は神戸に何度もチャンスが訪れた。75分過ぎからは一方的に攻めまくっている。しかし、最後のところで広州恒大も粘り、試合はそのまま0-2で終了した。

「前半の失点に関しては非常にもったない失点だったなと。ある程度、相手の攻撃を予測した上で、いい部分もたくさんあったんですが、この失点が後半に逆転するにあたっての難しさを生んでしまったという印象です。(先発を変えた理由は)もちろん、コンディション調整を重要視しています。ラウンド16に向けていい準備をしたいと思っているので。(総入れ替えは)中2日であることと、相手も激しく来る中でケガが一番心配でした。アンドレスを途中から起用したのは、もちろん、プレーせずにベタ休みするよりもいいということで、彼とも話をしていました」

 敗れはしたが、とくに若い選手たちがACLを体感して経験を積み、前節プレーした選手たちがしっかりコンディション調整できた。指揮官が見据えるのは、ラウンド16の戦い。その意味で、価値のある一戦になったと指揮官は語った。グループステージ最終節となる次戦の水原三星は6日後の12月4日だ。しっかり準備し、再び決勝トーナメントの戦いを踏まえて臨むことになる。