明治安田生命J1リーグは川崎フロンターレが再王手。前節で大分トリニータに敗れて仕切り直しとなったが、11月25日のG大阪戦で引き分け以上で優勝だ。鬼木達監督は気持ちの強さを選手にも自分にも求めてホームでの優勝決定を誓うのだ。

上写真=さあ、等々力決戦。鬼木達監督も強気で攻め抜く覚悟だ(写真◎Getty Images)

「大一番なので気持ちで乗り越えさせたいという思いが」

 新しい4-3-3のフォーメーションを落とし込み、超攻撃的サッカーを実現し、ゴールを量産し、多くの選手を登場させた上でそれぞれの個性を消さずに気持ちよくプレーさせ、首位を独走する。川崎フロンターレはまさに理想的なシーズンを送ってきた。だから、指揮を執る鬼木達監督が最も大切にしていることは技術や戦術だと考えがちだが、おそらく「気持ち」だ。

 11月21日の大分トリニータ戦で勝てば優勝という舞台で戦ったものの、0-1で敗れた。34分に谷口彰悟が退場処分を受け、そこで与えたPKで失点して、以降は苦しい戦いになることは予想できた。だが、鬼木監督が挙げた反省点は「自信を持ってゴールに向かえなかったのが、改善しなければいけない点だと思います」だった。どんな状況でも攻めて勝つというフィロソフィーは揺るがなかった。

「いい守備ができなかったのか、いい攻撃ができなかったのか、そこは考え方によりますし、両方だとは思うんですけど、(大分への)対処法は正直あったと思っています。ただ、決勝戦のようなあの場でどれだけ自分たちらしさで勝負していくか、そこを意識して戦いました。中2日であることなどを考慮したマネジメントをするべきだったなと思っていますし、守備でもいくつかのシーンでピンチはありましたけど、こちらがしっかりと連動しているときには相手は蹴るだけという状況に持っていけたので、攻撃のところで簡単にボールを失いすぎたと思っています」

 相手に合わせて守ろうとすることも可能だったが、数的に不利であろうとなかろうと、つまりは攻撃への力が及ばなかった点にフォーカスするのだ。

「コンディションのところを含めて考えて、それでも、大一番なので気持ちで乗り越えさせたいという思いが正直あったのですが、至りませんでした。ゴールへ向かえなかったと言ったのは、向かわなかったのか向かえなかったのかというところです。相手を見る作業が必要で、相手がどこ狙ってどう来ていたか、それを外せればゴールに向かえると思っていました。では、こちらがどこを見るかというと、セオリーとしては先頭のところですよね」

 気持ちとは単に「頑張る」という意味ではなく、やるべきことをしっかりとやるという精神のことでもあり、大分戦でやるべきだったのは「先頭を見る」ことだったというわけだ。

 大分戦の翌日に浦和レッズとガンバ大阪が対戦。G大阪が引き分け以下でも優勝が決まる条件だったが、G大阪の逆転勝利によって持ち越された。次の試合の相手がそのG大阪で、今度は引き分け以上で優勝が決まるというめぐり合わせもどこか運命めいている。

「気持ちの部分は大きいと思います。大分戦で人数が減っても受けに回らずに、最後は失うものなど何もないかのように前に進んでいくことができました。それをずっとやってきたので、ガンバ戦でも出していきたいと思います」

 もう一度、自力で優勝するチャンスがめぐってきた。しかも、ホームの等々力で。

「もう1回、等々力でチャレンジするチャンスをもらえたので、いろんな思いを乗せて戦いたいと思います」

「全力で戦うことの大事さを表したいと思っています」

「チャレンジのチャンスを与えられただけで勝つのは簡単ではないと思いますし、勝たなければまた難しい状況になると思います」

「勝てるかどうか分かりませんが、チャレンジさせてもらえるのはプラスに考えて戦いたい」

 次から次へと「等々力決戦」への思いがこぼれ出てくる。

 いよいよ、その時は来るのか。川崎FとG大阪の運命の一戦は11月25日、等々力陸上競技場で18時30分キックオフだ。