明治安田生命J1リーグ第28節の浦和レッズ対ガンバ大阪は、G大阪が引き分け以下で川崎フロンターレの優勝が決まる状況だったが、阻止したのが右サイドバックのヘッド一発だった。高尾瑠のJ1初ゴール。次節、川崎Fと直接対決だ。

上写真=J1初ゴールで思い切り喜びを表現。高尾瑠が逆転弾を決め川崎フロンターレの優勝を止めた(写真◎J.LEAGUE)

■2020年11月22日 J1リーグ第28節(@埼スタ:観衆20,288人)
浦和 1-2 G大阪
得点者:(浦)槙野智章
    (G)宇佐美貴史、髙尾瑠

「優勝をさせないようにしたい」

 見事な「トリプルジャンプ」が決まった!

 まず昌子源が跳び、その後ろでパトリックが跳ね、最後は髙尾瑠がジャンプ。81分のガンバ大阪の左CK。山本悠樹が蹴ったボールに合わせて3人が順番に飛び上がるようにして、最後は高尾がドンピシャリのタイミングでヘッドで突き刺した。

 J1初ゴールが浦和レッズから奪った逆転ゴール。「すごくうれしいです」と高尾は初々しかった。

「去年からチャンスはいっぱいあって、決めきれないのが課題だったので、決められてよかったです」

 昨季デビューして18試合に出場したがゴールがなく、G大阪U-23で出場したJ3でも8試合無得点。今季もここまでJ1の26試合で得点はなかった。安定した守備を見せる右サイドバックだからゴールがないのも不思議ではないが、「たぶん初めてぐらいだと思います」というヘディングシュートでJ1リーグ通算45試合目に決めてみせた。仲間たちにもみくちゃにされて弾けた笑顔が清々しかった。

 J1初ゴール、逆転ゴール、決勝点、2位確保へまた一歩前進する勝ち点3獲得と、とにかく貴重な一撃となったが、もう一つ忘れてはならないのが、川崎フロンターレの優勝を阻止したゴールだったこと。前日に川崎Fが大分トリニータに敗れ、この浦和対G大阪戦でG大阪が引き分け以下であれば川崎Fの優勝が決まるところだった。62分に先制されて難しい試合になり、66分に宇佐美貴史のゴールで追いついたものの、このまま1-1で終わったら優勝が決まってしまう。

 それを高尾が自らのゴールで勝利をもぎ取って、川崎Fに待ったをかけたのだ。

 高尾自身は「(川崎Fの優勝のことは)そんなに意識しないで、今回の試合に勝とうという感じでした」と淡々としていて、むしろ前節でベガルタ仙台に0-4で大敗したことを受けて「前節、嫌な感じでやられて失点多かったので、少なくしようと思ってよくやれたので良かったです」と守備に意識を置いてプレーした。

 川崎Fの優勝をこの段階で阻止して次に臨むのが、その川崎Fとの直接対決というめぐり合わせ。

「川崎はすごくいいチームなので、自分たちのサッカーをしっかりやって、内容もしっかりやって、優勝をさせないようにしたいです」

 2試合連続での優勝阻止へと挑むG大阪。この日と同じように、もう一度高尾のゴールでそれが実現したら面白い。

写真◎J.LEAGUE